ブック5
□別れ
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「あ!お〜い、ユッフィ〜!」
「! ジノっ」
きらびやかなドレスに豪華なシャンデリア、宮殿内に響く優雅なメロディ。
ホールで踊る紳士淑女を隅っこでただただ見つめる、一人の少女。
背の高い、金色の髪をした少年に呼ばれて少女は顔を上げた。
少年が少女の隣に立つと、少女はぷくっと頬を膨らませる。
「ジノ、どこに行ってたの?ずっと、探してたんですから!」
「ごめんごめん。
これ、取りに行ってたんだよ」
本当に申し訳ないと思ってるのか疑いたくなるジノの笑顔。
ほら。
そう言って渡されたのはシャンパン。
小さな泡が弾けていく様は綺麗で、ユーフェミアはそれを受け取って暫く眺めた。
「飲まないのか?」
その様子を見ていたジノがユーフェミアの顔を覗き込む。
「飲まないんじゃなくて、わたしはまだ飲めないんですっ。
ジノだってまだ飲んじゃいけないのよ?」
そう言われたジノは、ユーフェミアから顔を反らし、ぐいっと自分のシャンパンを飲んだ。
あっ、ジノ!
と、ユーフェミアから軽い批難の声が上がる。
「わたしは良いんだ」
「よくないわっ」
「良いんだよ。
シャンパンなんか飲むの、今日が最後なんだから」
「え……?」
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