『スカート。』
ヒラリ。
元々短いスカートだというのに、
くるくる回るから、スカートが翻って、彼女の太股が露になってしまっている。
「どうでしょうか?」
そんな事も気付かないお姫様はにっこり首をかしげた。
先ほどの光景に、思わず照れてしまっていた彼女の騎士が短く息をつく。
「…スカート、短いんじゃないかな?」
すらっとのびる、白く美しい脚をなるべく見ないように、スザクは顔を反らす。
ユーフェミアは指摘されたスカートの裾をちょん、と引っ張った。
「そうかしら。
でも、ミレイさんもこのくらいの丈でしたよ?」
ユーフェミアの言葉に、スザクは頭の中で頷く。
そう、ミレイは確かに彼女と同じくらいスカートの丈が短い。
ミレイだけではない。シャーリーやカレン、ニーナ、この学園の女子全員がユーフェミアと同じくらい短いスカートで生活している。
その短さを今まで気にしたことはなかったのだけれど。
「でも、ユフィは駄目だ」
「あら、なぜ?」
スザクの言葉に、ユーフェミアは口を尖らせた。
「…………」
「どうして?
スザク」
眉を下げて、ユーフェミアは再び問う。
スザクは頬を赤く染め、眉をつり上げ、彼にしては珍しく荒い口調で告げた。
「他の男がユフィの脚を見るだろっ!」
その言葉に驚いたユーフェミアは、嬉しそうに微笑み、スカートの丈を一段降ろした。
それでもまだ不満げな瞳で見つめてくるスザクだったが、ユーフェミアはその視線を無視して、また回り出す。
スザクは溜め息をついて、そんなユーフェミアを抱き締めた。
「ふふ、これからは“スザク先輩”って呼ばないとね」
―今日から、一緒にアッシュフォード学園に通うのだから。
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