舌の感触












ねえ、知ってる?


僕は君の「お兄様」で
君は僕の「妹」で
僕たちには同じ色の、おんなじ味の血が流れているって。




「いた…」



軽快な音が途絶えたかと思うと、僅かに痛みを含んだ声が聞こえた。



「どうしたの、ラクス」


「あら、お兄様。少しだけ指を切ってしまいましたの。でも大したことありませんわ」



ラクスの指を見ると、白く細長い指の人差し指から赤い血が滲んでいる。

ああ、綺麗な指なのに。



「っ…お兄様?」



ピクンと、ラクスが震えた。

ラクスが指の怪我を舐めようとしたのを止めて、
代わりに自分の口に含む。

どこかで聞いたことがあるけど、指は一番いろんなものを感じやすいらしい。

温かさや冷たさ、痛み、そして…



「…っ…」



舌の感触も。



「お兄様…」




ねえ、君は知ってる?


僕が君を“愛してる”って。




「…お兄様?」


「ねえ、ラクス…」




傷口から、僕の愛はしみたかな?










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