幸せハロウィン?
「セ シ ル く〜ん」
何やら変な帽子を被った男性がご機嫌そうに、自分の部下の女性を呼んだ。
女性は書類に向けていた目を男性に向け、心底呆れた表情になる。
相手に分かるように、あからさまに深くため息を吐いた。
「何のつもりですか、ロイドさん」
「んふふ、今日はハロウィンだよ〜。たまにはこういうイベントに参加するのも悪くないかなぁって思ってねー」
そういうと男性は、自分が付けていた帽子を女性に被せた。
オレンジ色の、かぼちゃの様な帽子。
変な帽子を被せられ、女性はまたため息を吐いた。
そんな女性の前に、大きな掌が差し出される。
「トリック、オア、トリートぉ!お菓子をくれなきゃ悪戯するよ〜〜」
無邪気な笑顔を浮かべ、ひらひらと掌を動かす男性。
女性はにっこり笑うと、一秒もしない速さで男性の胸ぐらを掴んだ。
「ロイドさん〜。馬鹿な事をなさってないで、しっかり仕事してくださいね?」
女性の表情も言葉遣いもとても穏やかなのに、
女性が男性の胸ぐらを掴んでいる、という光景がとても恐い
。
それがあの男性と女性の日常の光景で、もう何度も見ているものだとしても、恐ろしいという感情は消えない。
彼らのやりとりをランスロットの中から見ていた枢木スザクは、ただ苦笑するしかなかった。
「ロイドさん、返事は?」
「………はーい」
end.
戻る