「スザク、貴方に逢えて良かった」
ユーフェミアは、自分の横に座る己の騎士に語りかけた。
「…ユフィ?」
騎士―スザクは蒼い空を見上げる己の姫を見る。
彼女はいつも突然で。
行動や発言、なんでもだ。
“逢えて良かった”なんて、心臓が飛び出しそうな台詞も。
「わたし、スザクがいてくれなかったら、たぶん本当に“お人形”のままだったと思うの」
やる気だけ空回りして、みんなを困らせて、結局守られる。
永遠に、そこにいるだけのお人形。
「副総督の辞令が出された時、本当は逃げ出したかったんです。
わたしには重すぎるって。ちゃんと務められるか不安でした」
だけど、スザクと出会った。
ユーフェミアよりいろんなものを背負った彼に。
スザクの優しいところ、かたくななところ、悲しそうな瞳。
世界を思う、強い意思。
「自分が恥ずかしくなりました。スザクに比べたらわたしなんて、って」
枢木スザクという存在に憧れた。
彼のように、なりたいと思った。
「本当に感謝しています、スザク。
……ありがとう」
彼の瞳にずっと背中を押してもらっていた。
初めて出会った時、ナリタでの
攻防戦、騎士を選ぶ時、特区「日本」の設立。
「僕のほうこそ、ユフィに感謝してるよ。」
―ずっと、信じてくれて。
「枢木スザク」という存在を受け止めてくれた。
真っ暗だった世界に光をくれた。
「ねぇ、スザク。
これからも、わたしと一瞬にいてくれる?」
少し不安そうに首をかしげ尋ねるユーフェミアに、スザクは笑みを溢す。
立ち上がって、彼女の両手を握り締めた。
「イエス、ユアハ…じゃかなった。」
スザクは苦笑した。
「ずっと、ユフィと一瞬にいるよ。」
「……はいっ!」
やわらかな風が吹いて、二人の髪を揺らす。
サワサワと花が揺れて、スザクとユーフェミアを祝福しているようだった。
end.
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