poem
38件
【魚 (さかな)】
水底から魚が囁く。「こっちへおいで」たかが魚に何が分かるとそっぽ向く。でも円らな瞳に惹かれつい虜になる。「水槽の暮らしも悪くない」なお執拗に魚は誘う。私が誘惑に弱いなんて事、とっくに見抜いているのだ。
【写真 (しゃしん)】
写真を撮られるのは苦手だ。自分の存在を残すのが嫌いだから。
風景や物を撮るのは好きだ。瞬間の美を留めておきたいから。
レンズ越しの世界は夢を見せてくれる。
記憶と共に想いもフィルムに焼き付ける。
【鈴 (すず)】
祭りの夜
奉納の舞
鈴の音が
しゃらりと響く
真夏の夜
縁日の行列
鈴の音が
しゃらりと響く
しゃらり
しゃらり
天まで響く
【選択 (せんたく)】
幾度の成功と失敗を
繰り返して
自分の生き方を
覚えていく
立ち止まったり
潔く決意したり
時々で選び方も変わるけれど
一つ一つが
自分を形成していく
大事な選択
【空 (そら)】 
突き抜けるような
その青が
胸の奥まで
染み渡る
どんよりと重い
その灰色が
少しの憂鬱を
連れてくる
闇に落ちる間際の
その紫が
心を捉えて
離さない
【誕生日 (たんじょうび)】
年に一度の記念日。自分の生まれた日。常に通過点でありゴールではない。一年間を積み重ねた証にひとつ年を得る。364日の日々がミルフィーユの生地のように丹念に重なり一つの年を織り成す。今日も誰かの誕生日。
【地図 (ちず)】
まっさらな紙
その上に
軌跡を描くのは
あなた次第
幾多の人々が
何万通りもの
地図を描いてきた
あなたなら
どう描く
野心あるならば
心のままに
描き出せ
【繋がり (つながり)】
手と手
声と声
言葉と言葉
文字と文字
こころとココロ
今 この瞬間も
誰かが誰かと
つながっている
つなげたい想いを
つなげてる
【手紙 (てがみ)】
元気にしてる？
友からの便りが届く
メッセージに
暖かい気遣い
小さな紙片に
たくさんの想い
便利なデジタルに
流れがちだけれど
たまには
アナログなのもいい
【鳥 (とり)】
飛翔する姿を
目の当たりにすると
はばたけば
何処へでも
行ける気がする
どこまででも
飛んでいける
気がする
鳥ならば僕は
遠い街まで
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