gift for me
□眼鏡
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別に眼鏡を必要とはしない、が、興味はある、といった風情だ。
やがて、興味のほうが勝ったようで、私の手からそっと小箱を受け取り、箱をあけて眼鏡を取り出す。
土方さんは、ほぅ・・・、とため息にも似た賞賛の声をあげた。
「どうかしましたか?」
「いや、、、一度、眼鏡ってのを見せてもらったことがあるが、それと比べて、随分と軽そうで、実用的そうだなと思ってな。」
「この時代の眼鏡だと、フレームが太かったりするんでしょ?」
「ふれーむ?」
「あっと、眼鏡の縁の枠のことです。」
「そうだな。そいつの枠は鼈甲でできていたが、あれは重そうで、普段つけて歩くには不便だと思った。それに・・・」
「それに?」
「その持ち主にその眼鏡が似合うようには見えなかった。眼鏡が歩いているように見えたもんだ。」
「ふふっ。そうかもしれませんね。」
す・・・っ、と土方さんが、私の眼鏡をはめた。
その瞬間、私は、彼のその端麗な顔に似合いすぎる眼鏡姿に釘付けになった。
いつも眉間に寄っている皺がすっと消え、鬼の副長という仮面の代わりに眼鏡をつけたその顔は、とても理知的で、そして・・・優しい目をしていた。
私が土方さんに見とれている間にも、彼自身は周囲をきょろきょろして、その明確に見える景色に、感動を覚えているようだった。
ふと、その視線が、私のところで停止する。
・・・ど、どうかしたのかな?
あんまり見つめられると・・・私・・・。
「オレにはメガネは不要だ。」
「そ、そうですか。見え方がイマイチでしたか?」
「いや、、、景色はよく見えるようになった・・・が、こんなんかけては、斬りあいができやしねぇからな。」
「それもそうですね。斬りあいには、気配がわかればいいわけですしね。」
「それに・・・」
「それに?」
土方さんはそこで言の葉を切る。
そして、眼鏡をはずし、箱に納め、私に返してくれた。
さっきの格好良い土方さんの顔を思い、ちょっと残念に思う。
眼鏡ケースを受け取ろうとしたその手を、突然土方さんが掴み、ぐっと力を入れる。
私はそのまま彼の腕の中に納められる。
限りなく接触に近い距離まで迫る彼の顔・・・。
「オレがはっきりと見てぇのは、お前の姿だけだ。それなら、こうして腕の中に納めちまえばいいこった。」
「!?」
「そうすりゃ、お前もオレの顔がはっきり見えるだろぅ?」
近眼がほとんどないと言われているこの時代に、新選組を守るため、夜中に薄暗い行灯の光の中で仕事をこなし、そして近眼になってしまった土方さん。
あなたが、眼鏡をかけては斬りあいができないのであれば、私がかけて、あなたの目の代わりとなりましょう。
だから・・・・・ずっと・・・・・お傍に置いてください。
◇◆
みさき様、素敵な土方さん夢をありがとうございます!眼鏡土方さんを見てみたい…!あぁ…うるわしゅう…
そっか…眉間に皺寄ってるのは近眼だからなのね…!
沖田さんがやたら楽しそうで、読んでるこっちがにやにやしてしまいました(o^∀^o)☆
誕生日の思いがけないHAPPYサプライズ♪みさきさん、大好きですっ(照)笑。