gift for me

□眼鏡
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「ん〜・・・」


私は先日土方さんにもらった手配書をじっと眺める。


「どうしたの?手配書に穴でもあけたいのかい。」


くすくす笑いながら沖田さんがこちらに声をかけてきた。


「ううん。そんなんじゃなくて、、、その、この手配書の似顔絵なんだけど。」

「似顔絵がどうかしたかい?」

「・・・ぶっちゃけ、下手、だよね?」


下手、というところだけ、ものすごく小さな声にして、沖田さんに意見を求める。


「ん〜。それについては、意見が言えないということで。」


沖田さんが苦笑しながら答えてくれた。
ノーコメントは肯定と解釈してもいいんだよね。たぶん。


「これ、誰が描いたの?」

「もちろん土方さんだよ。」

「土方さんは、この手配書の人たちの顔を見たことがあるのかな?」

「ああ、それはあるはずだよ。」

「ふぅん・・・。」

「なんだか納得できないみたいだね。どうしてさ?」

「うん・・・。私はこの人たちの顔とか見たことあるわけじゃないんだけど・・・」


と前おきしながら、言の葉を続ける。


「実際には見たことない人の顔を、無理やり描いたようなかんじの絵だなぁって思って。」

「それは、どうして?」

「その、、、なんていうのかな。どの絵を見ても、ぜんぶ同じ顔の絵だなぁって思ったの。」

「そぅ?この岡田なんか、目つきが悪いけど?」

「それは、人相書きの特徴に「目つきが悪い」って書かれてるもん。」

「じゃあ、土方さんは、この人たちとは、実際にあったことがないっていうの、キミは?」


ほんのすこぉし沖田さんの目が細まったのを見て、私はあわてて弁明する。


「会った事がないんじゃなくて、会っても見分けられなかったんじゃないかなぁ。」

「ん・・・どういうことかな?」


沖田さんの目がさらに細くなる。これは早く結論を言わないと、私の命は保障されそうにもない。


「土方さんって、視力はいいほうなの?」

「え・・・?」


質問に質問を返す形になり、その内容に細くなっていた沖田さんの目がまん丸に見開かれる。


「視力、、、って単語はわかるよね?」

「それはわかるけど、、、キミは、土方さんの視力が悪いから、人の顔の区別がついていないと思ってるのかい?」

「うん・・・。根拠があるわけじゃないし、単純に絵心がないだけかもしれないんだけど・・・」

「絵心ないのは、昔からだ。悪かったな。」

「!」

「!」


突然割り込まれた呟きに、私と沖田さんが総毛だつ。

いいいいいつからそこにいたんですか、土方さんっっっ!?


「やぁやぁ土方さん、今日もご機嫌うるわしゅう。」

「さっきまではうるわしかったんだが、たった今悪くなった。」


沖田さんが誤魔化そうと話しかけるが、土方さんはにべもない。あああ、そんなに眉間に皺を寄せないで下さいぃぃ・・・。


「そそそそんなことおっしゃらないで、ほら、、、これを見て。」


20cm四方ぐらいの紙にCと描かれたものを私は手にもって、すばやく5mほど離れる。
適当に紙をぐるぐるまわし、Cの環の開いている方向を動かしたものを土方さんに見せる。
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