リボーンさん誕生日おめでとうございます!
ということでディノツナとリボーンさん小話。
シリアス風。
何か読んだ事あるような風。
エロはないけどディーノさん変態。
リボーンさんを全然祝っていない。










「ツーナ♪」
「ディーノさん!」

両手いっぱいの荷物を抱えて部屋に入ってきたのは、ディーノだった。
買い物袋の間からいつもの爽やかな笑顔が見えて、綱吉も自然と作られた満面の笑みで迎える。
沈んでいた心と鼓動が弾んでたまらなくて、綱吉はベッドから起きて一目散にディーノに駆け寄った。

「空港からここに来るまで、また色々買ってきちまった」

袋から溢れるのは、たくさんのお菓子やオモチャに、ゲームや服。
これ全部が、ディーノから綱吉へのお土産。

「だ、だからっ!いつもいつもこんなにもらえませんって!悪いし…オレ、ディーノさんが来てくれるだけで嬉しいし…」

服を握り締めて頬を染め、困ったように呟く綱吉がいじらしくて愛らしい。
そのまま抱き締めてキスでもしてやりたい衝動を堪えて、ディーノは降ろした袋を漁り始めた。

「遠慮なんかすんなよ。オレが好きでやってんだし…あ、ほら!このゲームツナ欲しがってただろ?オレも買ったから一緒にやろうぜ!」
「で、でもっ」
「もらっとけ。こんなもん、コイツにとっちゃただのはした金だ」
「リボーン!」

どこからか急に現れたリボーンが、ディーノの肩に乗っていつものようにニッと唇を曲げて笑う。
確かにディーノにとってははした金かもしれないけれど、はっきりそう言われると何て言っていいものか困ってしまう。

「そ、リボーンの言う通りだからさ、お礼はツナの可愛い笑顔で充分だぜ?」
「ディーノさん…あ、ありがとうございますっ!」
「よし!ツナ、おいで」

綱吉のはにかんだ笑顔に満足そうに頷くディーノが、腕を広げて綱吉を呼ぶ。
綱吉ははっとして少し躊躇った後、すぐにディーノの腕の中に潜り込んだ。
すぐにそっと抱き締められて、ディーノの心地よい温もりと香りに包まれる。
身体の力が抜ける位、安堵して幸せを感じる瞬間。
この世にこんな心地よい場所があるんだと、綱吉は初めて知った。

「少しは場所をわきまえろ、バカ弟子共」
「リ、リボーン!」

リボーンの存在をうっかり忘れてディーノに酔っていた綱吉が、慌ててディーノから離れようとする。
しかしディーノは離すどころか、更に強く綱吉を抱き締めた。

「ディーノさ…!」
「んじゃ、ゆっくりしてけ。ディーノ」
「リボーン!?」
「おう!ありがとな」

あのリボーンが悪態を付かずに空気を呼んで素直に撤退するだなんて。
綱吉は信じられないものを見る目でリボーンを見たが、その時にはもう既にディーノの肩にリボーンの影はなかった。
驚いている間に、ディーノに横抱きにされて何処かに運ばれていく。

「ディーノさんっ」

綱吉が運ばれたのは、ベッドに腰掛けたディーノの膝の間だった。
座らされて抱き締められ、髪に頬ずりされる感覚を覚えながら、また胸が高鳴る。

「今日は最初、元気なさそーだったな?」
「あ、それは…」
「リボーンに、継承式出ろって迫られたんだろ?」
「知ってたんですか、ディーノさん」

さっきのことを思い出して、また少し気が重くなってしまう。
ディーノの前では、いつだって明るく振舞いたいのに。

継承式になんて出るつもりはない。
けれどリボーンはそれを許してくれない。
いつまで経っても平行線の話し合い。
けれどあのリボーンのことだから、きっとどんな手を使ってでも自分にボンゴレを継がせるつもりなんだろうと、考えれば考える程気が重くなる。
綱吉はただ、平穏な生活を取り戻したかった。

「オレ、マフィアになんて絶対になりたくないんです!だからどうやって逃げようか考えてて…」

マフィアのボスであるディーノにこんな愚痴を言うのもどうかと思ったが、今綱吉がこんなことを相談出来るのは、ディーノしかいなかった。
不安を伝えるようにぎゅうとディーノの袖を握って、震えた声と潤んでしまいそうな瞳でディーノを見上げる。
ディーノは綱吉を落ち着かせるように髪を撫で、優しい笑みを携えた。

「どうしても、ボンゴレを継ぐのは嫌か」
「当たり前じゃないですか!」
「オレが、ツナに10代目になって欲しいって願っても?」
「え?」

まさかディーノにそんなことを言われると思っていなくて、綱吉がディーノを見上げて目を丸める。
ディーノなら、自分のこの気持ちを理解してくれていると思ったのに、まさかそんなことを言われるだなんて。
ドクドクと心臓が嫌な感じに高鳴っていく。

「いや、違うな。オレは、ツナに10代目になって欲しい訳じゃねーんだ」
「どういう、ことですか…?」
「ツナが10代目になってくれねーと、もうツナと会えなくなっちまうから。ツナと離れんのが、怖いんだ」
「っ!?」

ディーノの指が震えている。
その目が何かに脅えている。
こんなディーノを見ることなど初めてで、綱吉は動揺した。
いつだってディーノは落ち着いていて、自分を優しく包み込んでくれていたから。
今、その柔らかで頑丈で、絶対に崩れることのないと思っていた居心地のいい繭が、崩れようとしている。

「オレが…10代目にならないと…ディーノさん、もう、オレに会いに来て…くれないんですか…?」

恐る恐る、呟いた。
まさか自分がボスにならないと、そんな恐ろしいことが起きるだなんて考えてもいなかった。
一般人に戻っても、ディーノは変わらず喜んで会いにきてくれるんだと思っていたのに。
自分達の関係は、この心地いい場所は、永遠に不変なんだと思っていたのに。

「ツナ、オレはマフィアのボスだ。普通の奴等とは違う」

綱吉を膝から正面に降ろして、ディーノは真面目な顔をした。

「いいか、ツナ。今はリボーンや守護者の奴等がお前の傍にいるから、オレは安心してお前に会いに来れるんだ。でもツナがマフィアじゃなくなっちまえば…お前を守るものは、何もなくなる。そんな状態でオレだけがツナに会いにくれば、お前は今よりももっとやべぇ状況に晒されちまう」

ディーノに腕を掴まれた。痛い位に強く。
ディーノの表情が、悔しげに歪められていく。
綱吉はただ呆然と、変わりゆくそれを見つめていた。

「悔しいけど、オレだけじゃツナを守りきれねぇんだ。だからツナがマフィアを辞めるなら…オレはもうお前に会いに来れねぇ。オレ達は住む世界が変わっちまうんだよ、ツナ」

突きつけられた現実。
衝撃が大きすぎて、何も言葉が出てこない。
でも今にも泣いてしまいそうなディーノの表情に、これが本当に事実なのだと教えられる。

10代目になんてなりたくない。
だけど、その道を選ばないともうディーノに会えないなんて、考えられない。
だって、綱吉が思い描いていたマフィアを辞めて手に入れるはずの平凡な生活の中心には、ディーノがいたから。
もうすでに、ディーノが綱吉の全ての中心だから。

「…そ、んな…オレっ…どうしたら…」

頭が混乱する。
答えが見つからない。
震える声とすっかり滲んでしまった瞳でディーノを見つめると、ディーノがさっきとは一転、再び優しい笑みを浮かべていた。
そっと耳元に寄せられる唇。

「なぁツナ、何悩んでんだ?答えなんかもう決まってんだろ?」
「え…?」
「ツナは耐えられんの?これから先、オレともう二度と会えないなんて耐えられんのか?」

耳元で囁かれる言葉。
それはひどく優しい、脅迫だった。

「ディーノさ…
「オレは、耐えられねぇ」

ツナのことが、好きだから。
脅迫に重ねられる、愛という名の追い討ち。
こんな時に初めてそんな台詞を使うなんて、ずるいと思った。
でも忙しく歓喜に高鳴る鼓動と、赤くなる顔は嘘を付けない。
強い瞳でそう言われて、手を握られて、嬉しい。
今までの決意が、揺らいでいく。


「10代目になれ、ツナ。オレのために」


後悔は、絶対にさせねぇから。
まるでそれは、プロポーズみたいに。
鮮明な言葉と一緒に左手の薬指に熱い唇を落とされれば。


崩れ落ちたのはディーノの繭ではなく、綱吉の意思だった。






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「継承式、来月に決まったぞ」

2人の集合場所に決まっている、行きつけのバー。
薄暗いこの場には似つかない小さな影が、小さなグラスをその手に持ち、ニッといつもの笑みを浮かべた。

「はは!昨日の今日でもうリボーンに言ったのかよ、ツナは気がはえーな」
「今までのダメツナとは違う、覚悟を決めたいい目をしてやがった。これでボンゴレは安泰。よくやってくれたな、ディーノ」

カチャン、と2人は前祝のようにグラスで乾杯の音を鳴らした。
早速一気にグラスを空け、ディーノがじっとリボーンを見つめる。

「…約束だぜ?リボーン」

そのディーノの瞳の色が、変わっていく。

「ツナを10代目の椅子に座らせたら、オレがツナを好きなように抱いてもいいってな」
「ああ、もちろん構わねぇぞ。あの様子ならツナも合意だろーしな」

最初出会った時から、綱吉がディーノに惹かれていたことなど知っていた。
だからこそ、この重要な役目をディーノに託した。
ディーノになら、頑なに10代目を嫌がる綱吉を落とすことが出来ると踏んだ。
丁度いいことに、ディーノも綱吉に興味を持っていることに気が付いたし。
人を動かすのは、情に訴えるのが一番容易い。

グラスを傾けていたリボーンの瞳に、鋭さが増す。
ディーノを睨み付ける様に。

「ただし、ツナを壊すことだけは許さねぇ。ツナは大事な10代目だ」
「ははっ!んなことする訳ねーだろ?ここまでツナを追い詰めんの、お前の想像以上に大変だったんだからな」

10代の、しかも同性である少年だ。
百戦錬磨のディーノだってさすがに初めての経験相手で、本当に、ここまで来るのは苦労した。

「今まで通り、優しさだけ与えて溶ける程に丁寧に抱いてやるよ。…オレが愉しむのは、その後だ」
「だから心配してんだ。昔から治ってねぇお前のその悪い癖で、ツナを壊すんじゃねぇかってな」

グラスをテーブルに置いて代わりに愛用の鞭を出してしならせ、ディーノが声を上げて笑う。
光悦とした表情をしながら。

「だから心配すんなって!オレが壊すのは夜だけ。昼の顔までは壊さねーよ。あのツナを10代目まで押し上げたんだ。それ位は許してくれんだろ?」

対価としては、十分な程の働きをした。
リボーンが黙って酒を飲むと、自分が許されたのだとディーノは更に酒に酔って歓喜に饒舌になっていく。

「今までどんな女だって喜んだぜ?ずっと優しかったオレが…豹変して、鞭打ちしだしたらな」

リボーンに杞憂があるとすれば、それはディーノのこの悪趣味な性癖だけだ。

ディーノが優しい顔をすれば、釣られる女など五万といる。
適当にその女を釣り上げ優しくして、夜になればその仮面を外して豹変し、その女達を愛用の鞭で打って泣かすのが、いつの間にかディーノの愉しみになっていた。
苦痛に呻くその表情と声が、そして次第にそれが喜びの泣き声に変わっていく様が、ディーノを興奮させて喜ばせて止まなかった。

優しい顔の仮面の裏に隠したサディストが、リボーンだけが知る、ディーノの本性だ。

「ツナのほせぇ首にいかつい首輪はめて裸にひん剥いて、あの白くて柔らかい尻が真っ赤になるまで鞭で打ってやるんだ。ツナは嬉しそうに泣きながらその真っ赤な尻振って、オレのでけーのが欲しいって強請るんだぜ?ああ…想像しただけで勃っちまう。最近ツナに会うだけで勃起しちまいそうで、堪えんの大変だったんだよ。でも、もうそれを堪える必要もねぇんだな」
「ホントに、相変わらずサイテーだな。お前は」
「あー、早くツナをオレの鞭でめちゃくちゃに泣かせてーよ」

再びグラスを傾けながら、リボーンが呆れたように溜息を吐く。
ディーノは台詞とは裏腹に、白い歯を出して爽やかに笑った。

「わかってねーなー。鞭打ちだけでイっちまうよーなド変態に調教してやんの、最高に愉しいんだぜ?」
「さすがのオレも、お前のそのひでぇサドっ気だけはカテキョーしきれなかったみてーだな」

綱吉に与える玩具も部屋も、もう準備は完璧に出来ている。
あとは綱吉がボンゴレを継いでイタリアに移住し、執務の合間にゆっくりと調教をしてやるだけだ。
こうして、綱吉のお目付け役であるリボーンの許可も得た。
綱吉が自分の名を呼びながら、鞭で打たれて喜んで射精するところを想像して光悦と笑みながら、ディーノは一気にグラスを飲み干した。

そんなディーノを見つめて、リボーンもまた笑みを作る。
いつもの、あの笑みを。


「まぁ何にせよ、全てはオレの計画通りだ。これからもお前たちの幸せを願ってるぜ?…オレの可愛い教え子共」















だってディーノさんの武器鞭なんだもん。
こういう想像したっておかしくないではないか!

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