*過去拍手話A

□いちごの日
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*いちごの日






《1粒目》




「黒崎くん、今日はイチゴの日だね!」
「あ?」






にっこり笑顔で携帯の画面を見せてくる井上。
待ち受け画面が俺の居眠り姿の隠し撮りなのはあとでツッコんでやるとして・・・。
ああ、なるほど。






「そうだな」
「ね!」






何がそんなに嬉しいのか、にっこにっこ音が聞こえてきそうなくらい笑ってる井上。






「1月の1と5日の5でイチゴだよ!」
「だな」
「14の次が15だよ!」
「わかったっつの」
「16の前が15・・・」
「ちょっ、待て待て待て!」






何かもう、イチゴの日とか関係なくなってねぇか?
いくら死神代行で授業を抜け出す俺でも、14の次と16と前が15なのはわかるっつの。






「何でそんな15、15連呼してんだよ」
「だって・・・イチゴの日に肖って、黒崎くんの名前呼べるかなって」
「・・・・・」






おいおい、勘弁してくれよもう。
反則すぎるだろうが。
ヘタレな俺は、顔が赤くなるのを止められはしないけど、この機会を逃すほどバカじゃねぇ。






「でも、やっぱり無理でした。えへへ・・・」
「よし、頑張れ。諦めるな」
「えぇ!?」










《2粒目》




「黒崎くん、イチゴ食べてもいい!?」





散々、いじめたお詫びと称してスーパーで買ってやった苺。
「よし」を待ってる犬のような目で見上げてくる井上をもっと見ていたいけど、これ以上いじめるとまた機嫌を損ねられても困るの。






「食っていいぞ?」
「じゃあ、いただきます!」









ちゅ









「・・・・・・」
「えへへ、ごちそうさまっす」
「お前な・・・、不意打ちは卑怯だろ」
「仕返しっすよ!」
「あっそ・・・」










《3粒目》





「ねぇねぇ、黒崎くん!イチゴ・・・」
「ダメだ」
「えぇ!?まだ何も言ってないよ?」
「今度は俺が食う」
「へ?って、わわ!どこ行くの〜!?」












*2015.01.05

最後までおいしくいただきましたとさ♪




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