*過去拍手話

□テスト
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*テスト@ 「心理テスト」


「黒崎くん黒崎くん!」
「ん?」
「はい!」


目の前には、目一杯広げた井上の左の手のひら。
自分のとは違って細くて白い指。
握ったら折れちまいそうだな。


「どれか指を掴んで下さい!」
「はい?」
「いいからいいから」


そう言ってぐいぐいと手のひらを押しつけてくるから、とりあえず一本掴んでみる。
ふと目についた、薬指。
あることを連想してしまった自分に思わず赤面。
つーか、これは一体どういう状況なんだ。


「っておい!なんでそんな泣きそうな顔してんだよ!」


泣きそうというよりか、泣いてると言ってもいいくらい、
真ん丸い目はもう、うるうるうるうる・・・。


「だって・・・、黒崎くんあたしのこと嫌いなんでしょ?」
「待て待て待て!何でそうなるんだよ!」
「だってだって・・・、今嫌いって・・・」
「んなこと言ってねぇよ!」
「だってぇ〜」




「心理テスト?」
「うん・・。今日のお昼にね、みんなで読んでた雑誌に書いてあったの」


しばらくしてやっと泣き止んだ井上の話によると、
親指をつかんだらこいつをものにしたいと思っている。
人差し指は好き。
中指は普通。
小指は憧れ。
で、問題の薬指は嫌いだったってわけ。


「そんなのたまたまじゃねぇか」
「それはそうですけど・・・」


心理テストでも好きって言われたいじゃないですか。
なんて、拗ねた顔で言われたら、俺も本当のこと言ってもいいかななんて思えてしまう。


「あのな、俺が薬指を選んだ理由だけど」
「え?」





いつかここに指輪を嵌めれたらいいな、なんて思ってました。






*テストA 「黒崎くんテスト」


「黒崎くんテストって言うのがあれば、絶対100点とれると思うんだけどなぁ・・・」
「は?」


もうすぐ期末試験ってことで、進級もかかった大事な時。
そのために2人して参考書と睨めっこしてたはず。
なのにまた突拍子もないことを言い始め井上・・・。
まぁ、俺も「参考書と睨めっこ」とか言っちまうあたり、すでに井上に侵食されてる気がするけど。


「どんなテストだよそれ」
「黒崎くんに関する問題ばっかりのテストですよ!」
「そのまんまじゃねぇか」
「えっと、まずは名前は「黒崎一護」でしょ。それから住んでる場所は空座町で・・・」


本人いわく「黒崎一護テスト」解答中の井上。
「黒崎一護テスト」っつてんのに名前が問題になるっておかしいだろって突っ込むと「サービス問題だよ!」って返答が返ってきた。


「それから、好きなものはチョコレートと辛子明太子・・・」
「井上」
「その答え間違ってるぞ」
「へ?嫌いだった?」
「一つ足りない」
「?」


不思議そうに首を傾げる井上に向かって、人差し指を向ける。
その指の先を辿った井上は、たちまち真っ赤な顔。


「へ!?」
「追試だなこれは」
「えぇ!?」


逆に「井上織姫テスト」なんてもんがあったら、自分は何点とれるんだろうな、なんて。




「黒崎くん」
「ん?」
「顔真っ赤」
「うっせっ!」



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