MAKE U WET〜Chapter2〜
□混合集
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「同じ匂い」
K×Ba
Ksaid...
デビューしてすぐの20歳になった直後だっただろうか?
俺…亀梨はあるバーで不思議な“女の人”と出会ったことがある。
その不思議さに魅力を感じ、思わず声をかけたのは俺だった
雰囲気的に多分年上の女性。
しかし、その女性の“顔”を見られることは無かった
その日限りだったこと、店が薄暗くて良く見えなかったこともあるが、その女性はずっと下を向いていたから…。
声も聞いていない。
会話は頷きとジェスチャーで伝えられていた
“声が出せない人”と思った、そのときは…。
そして俺はその日の前から、その日の後からも、その女性に会っていることになっているなんて…。
その日は思いもしなかった。
そしてその日から何年かたち、デビューから7年。
「あ、山口くん!こんにちは」
月に一回、この日はTOKIOさんと同じTV局だ
俺はここぞとばかりに先輩であるTOKIOの山口くんに話しかける
「あ…亀梨。…よっ」
少し目線をそらす山口くん。
そして俺は限りなく山口くんに近づく。
「な…。か…///めなし?またか、よ?」
実はこれは月に一回、必ずやること。
そして
「やっぱり、同じ匂い」
と、必ずこう言う。
「え?」
「昔、会った女性(ヒト)と同じ匂い。山口くん…」
「え…/////////」
毎回同じ反応を…いつも顔を赤くする山口くん。
…何故か?
あの“女性”はきっと…いや、かなりの確率で女装した山口くんだからだ。
匂い、身に付けているモノ、何より下を向く仕草が…一致した。
なんで女装していたかは、TOKIOさんのプライベートの遊びの中での罰ゲームみたいなもので一回だけ山口くんが本格的な女装であるバーに一人で飲んでいたことがあるらしい…と国分さんから聞いた田口が楽屋で話していた。
そのとき、全部が繋がった
「山口くん、俺…。」
「…あ、すまん。もうすぐ収録だから。」
俺と目が合うといつも突き放される。
嫌われているのだろうか?…いや、違う。
あの日山口くんに話しかけたのが俺と山口くんはきっと知っているから…。
山口くんが女装して呑んでいたのを俺は知ってるとか、あの日話しかけたのは俺だとか言えれば良いんだろうけど、顔を真っ赤にする山口くんが面白くて、可愛くて…その反応をずっと見ていたいと思うようになり気づかないフリをしている。
それに
山口くんにその女性は女装した俺だ…とカミングアウトしてくれるのをどっかで待っているのかもしれない。
カミングアウトしたら俺が引くと思ってる?
そんなことないのに…。
あの女性が山口くんだと確信したとき、俺は何故か“嬉しかった”んだ。
いつか貴方みたいな男になりたいと思っていたから…。
山口くん…今日も、好きですから。
TOKIOさんの収録が終わるのを待つように、TOKIOさんの楽屋の前に腰を下ろした。
_「2/23in2013,K*Ba」へ続く_
あとがきは
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