Poem

□Victorys day。
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タオルに染みる汗


乱れた呼吸


着崩れたジャージ


顎に滴った汗を肩で拭く。




こんなんじゃ、まだぜんぜん足りない。


休めた足をまた動かす。




次こそ、勝ってやる。

笑って皆の前で賞状を見せられるように。


今こうして必死になって走ってる。




ねぇ、どうしたら勝てるのかな?



わがままだって分かってる。

皆がそう思ってるのも知ってるよ。



でもね、今回は自分が掴む、そのたった一つの賞状とメダル。



こんなにも、夢中になってる。


さぁ、次は団体の練習!













きた、満塁2アウト、ホームランの瞬間


投手の顔にガンを飛ばす。

ぜーってー、打ってやる。



そう思って、バットを強く振る。


2回目、もっと強く振る。


3回目、本気で振る。




「三振!」




胸の奥がズキズキする。


まぁ、練習だから。



そう言って慰められてもまったく励みにならない。



だって俺、今本気でやったんだぞ。

そう思うとなんだかムシャクシャして、更に自主練の量が増えた。



こんなにも、努力してる。












「あと5本いくよぉー!」





ラケットを振る。





切羽詰った顧問の声が響く。





広いコートを、勝利のために走り回る。

小さいボールを勝つために追っかけ回してる。

手にたくさんできた肉刺。


でも、手を握り締めると何故か安心する。






これまでやってきたことが全部この手に出てる。


痛ければ痛いほど、自分を信じることが出来る。



目の前に見えるのはネットの向こうにいる敵。


あの人も手に肉刺あるのかも。


ラケット振ってればできるよね、小指の下。



授業中とか剥くと痛くて放課後練習辛いよね。




それでも、練習しないと気がすまないんだ。




何もしないで負けるよりはいいから。

何もしなかったのに勝ってる自分がいるのはもっと嫌。




ああ、痛い。



こんなにも頑張ってる。














額から流れる汗が視界を曇らせる。


シュートが決められなかった。




先輩の手首を見る。


あ、テーピング。



先輩のボールがシュートに導かれるように入る。


そういえば、さっき捻ってたのに。




それを見たらなんだか悔しくなった。




自分はただが汗で点を入れられない。

先輩は怪我してる。でも点を稼げる。



目を擦ってもう1回。




すいません先輩。

今年で先輩引退ですけど、今回は俺にシュート決めさせてください。



先輩の足だけは引張りたくないです。


背中を追いかけて、早1年。



こんなにも、憧れてる。










腕が限界だと叫ぶ。


それでもいい。

腕が壊れてもいいからこの一本だけは、どうか当たってください。



何度もこんな場面があった。

大会でも、競射、遠近、皆中チャンス。



決められたのはほんのわずか。

会を粘って離れが力まないときだけ。



それが許されるのは、練習あるのみ。



お願い、当たって。



こんなにも願ってる。




あの優勝旗がどうしても欲しい。

一度も経験したことのない一番上の勝利。



一度でいい。


一回だけでいいから。





お願いです神様。





勝たせてください。

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