怪獣書堂

□ゴジラ対キングギドラ
3ページ/55ページ

【二つの愛情】


「全く、私はもうこんな子どもっぽい映画は見ないわよ。
 ………でも、仕方ないか。じゃあお父さんと一緒に、ゴジラを見に行ってあげる!
 ………映画館の前で待ち合わせね。遅れないでよ!
 ………じゃ、いってきまーす!」

 鞍馬達郎は、娘の最後となるその後姿をいつまでも、いつまでも見送り続けていた。



「……またこの夢か」

 目を覚ました達郎は、気だるそうにベッドから身を起すと、サイドテーブルに置かれた写真を手に取る。

「由実………」

 達郎は、写真に写る娘の名を呟くと、一人薄暗い室内で何度目かもわからない涙を流した。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ