長編小説

□第一幕
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「馬鹿めっ!」



司馬懿の声がコンサート会場に大きく響いた。


本来ならば人を罵るために使われる言葉。


しかし、その一言でこの会場は盛大に盛り上がる。


「お前等、Mか?」とツッコミそうになるがここは胸の中にしまっておく。



「フッ・・・・・・予想通りだな」



そう呟いたのは乱世の奸雄、“ソウソウPRODUCTION”の社長、曹操だった。


「・・・・・・・・・・」



無言でそれを見守るのはプロダクションのスカウトマンで社長のイトコである夏侯惇。


「さすが、司馬懿よぅ」



そういうと彼らは立ち去った。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「今日は特に盛り上がったよなぁー」



ベース担当の甘寧が言う。


「あんたはいちいちうるせっつの」



キーボード担当の凌統があきれたように言う。


「んだよ、てめぇっ。俺が言うことにいちいち文句言ってきてさー、やんのか(怒)」



「ああ、やってやろうじゃねえーか」



「ちょっと待てー」



声が二人の耳をたたく。


「お前達、同じ仲間同士でケンカとは、恥ずかしくないのかっ」



馬超が高々という。


「まだ決着がつかぬとあらば、馬孟起がこの正義の刃でお前達をけちらしてくれようっ!!」


バーン!!


相変わらず拍手を送りたくなるような台詞だ。


「正義ドラムは黙ってろっ」



「そうだって、てめえなんか、一生脇役を貫けっ」



「な、なんだとぉ」



心なしか、馬超の目に泪が見える。


ジャジャジャ〜ン♪


ギターの音が耳に入る。


「お前達、勝手にケンカしているのは止めないが・・・」



司馬懿がケンカを止めようとしたその時





バタン!!




景気良く扉が開いた。
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