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□きっかけは〇〇
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近頃眼をよく合わす。ただそれだけ。
【きっかけは〇〇】
団地生まれの俺は、高校に通うまでの十五年間、苦労無く友達を作れた。
それは何も考えて無い証拠で「いつの間にか」をただ受容してただけなんだと思う。
「それでは、ホームルームを始めます―――」
クラス委員なんてなるもんじゃない。まぁそれを決める時に先生の目の前にいた俺も悪いか。
月曜の放課後はクラス委員がHRをする。
ウチの担任が決めた勝手な制度で、俺ともう一人の委員である女子が皆の前に立って先生の真似ごと。酷くバカバカしくて、最初は月曜を休みたいくらいだった。
「先生ー、マジメにやってくださぁーい」
「静かにしろ馬鹿、」
高校に入っても「いつの間にか」で作った友達ばかりだった。それはフザけてばかりいる俺には丁度良くて、月曜をどうにか持ち直せた。
「今日はプリント多いから、前の奴手伝ってー」
「先生ぇー後ろの奴はどうしたらいーんですかぁー」
「お前だけは黙ってろ」
教室から笑いが出る。俺のやるホームルームも、捨てたもんでは無いらしい。和やかな雰囲気のまま、前の席の女子がプリント配りを手伝ってくれる。