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□真夏日の恋
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俺は保健室の先生が好きなんだと思う。
俺より10は年上の、同性の先生だけど。
【真夏日の恋】
きっかけは俺が夏休みの部活でブッ倒れた時だ。
水分が足りて無い朦朧とした気持ちの中、涼しい保健室に先生と二人きり。俺はベッドで首をアイスノンで冷やしながら、タオルで額と目を覆い倒れこんでいた。
『大丈夫か』
不意に先生の声がした。室内履きのシューズの音が近付く。音だけの判断だけど、先生がベッドの横まで来たのが分かった。
『…っ!』
『氷だ、食べとけ』
目隠し状態の俺は、自分の唇に冷たいものが当たった途端驚いた。けどそれが氷だと分かり、素直に口の中に入れた。
氷が溶け、口中が冷たくなる。飴とは違い、すぐなくなってしまう事が何だか惜しくて、もっと欲しいな、と一息吐いた時だ。
濡れた何かが、俺の唇に触れた。
冷たくなった唇には少し温かい何かが、丁寧に唇をなぞる。
…先生の指だ。