□真夏日の恋
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その時はまるで見えない箱の中身を当てるゲームみたいに、俺は自分の唇を触るものが何かを探っていた。
でも答えが分かった後も、朦朧とした意識にはそれが何を意味するのか、全く分からなかった。
第一熱に浮かされて喋る事すら怠り、身を任していたから…あんな事になったのかもしれない。

先生の指が離れた。それと同時にベッドが軋む音、そして
保健室特有の消毒液と、先生のつけてる整髪料の匂いがすぐ近くでする。
『っ、』
俺の唇に、柔らかい熱が重なった。
一体何が起こっているのか分からなかった。
身体も唇も言う事をきかず、ただ不意にきた熱に、冷たさも俺の気持ちも、一瞬で全部奪われた。
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