過去夢4

□本命の味
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『はい、これ!』

「…んだこれ。」

『何、って…今日が何の日か
知らないとは言わせないよ?』

「知るかよ。」

『そう言って断ったら
女の子はみんな引き下がると思ってる?
甘いねー!』

「何が言いたいんだ。」

『私はそんな簡単に
諦めないってこと!』

「…テメェは何で
渡そうとしたモン開けてんだ?」

『ん?
……こうするためにっ!』

「っ!!」

『…どう?私の手作りなんだからね!
亜久津用に甘さ控えめだよ?』

「…どう?じゃねぇ!
いきなり口に突っ込むやつがいるか!」

『美味しい?』

「人の話聞けっつってんだよ!」

『…もっと食べる?』

「………。」

『…あれ?怒った?』

「別に。」

『…。』

「…。」

『ねぇ。』

「…んだよ。」

『何で素直に美味しいとか嬉しいとか言えないの?』

「随分な自信だな。」

『千石さんは
美味しいも嬉しいも言ってくれたよ?』

「……オイ。
アイツにもやったのか。」

『うん、まぁ、一応?』

「一応って何だよ。」

『義理チョコくらいはあげるでしょ、一応。』

「義理チョコだと?」

『…え?
……何?何で怒ってるの?』

「俺はアイツと同レベルか?
義理チョコ無理矢理食べさせんじゃねぇよ。」

『いやいやいや!
違うでしょ!聞いて!ねぇ!
それ本命だから!』

「あ?」

『ほ•ん•め•いっ!
……えっと、だから…す、好…き…だから…』

「勢いよく言っといて
そこで照れてんじゃねぇよ。」

『亜久津が怒るからつい言っちゃったんじゃん!
亜久津のせい!』

「人のせいにすんなよ
……で?」

『は?』

「聞いてやるよ、さっきの続き。」

『…だから、えっと…
ほ、他の人にもチョコ作ったけど、
それは義理なの!!
でも今食べてもらったのは本命で、つまり…
す、好きってこと!亜久津のことが!』

「オイ。」

『な、何?』

「俺はアイツみたいに
嬉しいとか美味しいなんて言わねぇからな。」

『え、あぁ…。』

「まぁ、お前のことは嫌いじゃねぇ。」

『それってどういう意味?』

「…自分で考えろ!」

『何それ、緊張して損した。
…ねぇそれ頂戴。
言うこと言って緊張解けたら
おなか空いちゃった。』

「…。」

『あっさり返すってどうなの…
…え、ちょっ何して……ん……っ!』

「……顔赤ぇぞ。
どうだよ?自分のチョコの味は?」


手渡された箱を受け取ろうとしたら
箱はするりと手をすり抜けて
宙を舞った手を掴まれて
チョコの香りのキスをされた


『…あ……亜久津…いま…』

「今のじゃ、味なんかわかんねぇか。」


そう言って掴んだ手を引き寄せて
チョコの味を分け合うほどの
キスをする亜久津を
止める術は私にはなかった





happy valentine♡

亜久津って素直じゃないけど
すごく喜んでくれそう(^ー^)

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