卒業 -episode RIKKAI-

□君の優しい手(幸村END)
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「…奈々?
こんなとこで
どうしたの?」

卒業式のあと
1人で部室にいた私に
話しかけたのはゆっきーだった。

『ゆっきー。』

「奈々…
こないだも言っただろう?
…泣かないで。」

ゆっきーは、また
優しく頭を撫でてくれた。

「…こんなときにこそ
奈々の考えていることが
わかればいいのにね。」

『…?』

「…。」

2人して黙ってしまう。
沈黙の中、ずっと
言いたかった言葉を思い出す。

言わないまま
卒業しようと思ってた。

けど…
こんなに好きなの…。

『あのね…ゆっきー
私、ゆっきーのこと…』

「好きだよ、奈々。」

『…え?』

「遠くにいっても
…ずっと、好きだから。」

視界が歪んでいく。
ずっと言おうとしていた気持ちは
ゆっきーも同じだったの…?

『ゆっきー…っ!!』

さっき私の頭を撫でていた手が
私を抱き締めた。

『大好き…。』

「俺もだよ。」



あのね…
私、ゆっきーのこと
ずっとずっと大好きだから。

卒業しても
遠くにいっても
ずっとずっと大好きだから。



「…今度のは、嬉し涙?」

『うん…』

「ならよかった。」

腕をゆるめた
ゆっきーと目があって
私はそっと目を閉じた。



Fin
.
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