赤也成り代わり

□世界に異物混入
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前世を持った僕、いや俺がこの世界に来て早14年。・・・訂正。実際は今日を含めあと25日で14年になる。よって今日は9月1日。原作も夏休みと共に漸く終わって切原赤也を演じなくとも問題など無くなったと思い始めた日だ。といっても、完璧になど演じていない。少々裏では動いていた。




教卓で話を進める教師を見ながら欠伸。始業式の日なんていつもいつもどうせ同じような話しかしないんだからと心の中で何かに向かって言い訳。そんな事する俺は昨日PCを遅くまでしなければ良かったと後悔しながら、いつの間にか瞼を完全に閉じていた。


のだが、それから5分経ってないくらいの時

名前も覚えていない(というか、覚えるつもりもない)クラスメイトの後ろの席の男子から背中を叩かれ起こされる。


億劫な表情で振り返れば、楽しそうな様子で転校生来るんだってよ、とニコニコしながら喋り掛けられた。けれどそんな事お前に聞いてない、と口を滑らせそうになる。別に原作は終わったし、もし口を滑らせても何の問題も存在していないのだが、なんとなく、気分でいつも通りの態度でマジで!?と驚いてみせた。


教師はそれを聞いていたのか、俺にまた寝ていたのかと注意する。
俺が寝てんのはレベルの低い話を聞き続けて俺の脳の能力が低下すんの防ぐためだっつの、ああ危ない危ない。また口を滑らすとこだった。


そんなことダラダラと思考していると、前の扉ががらり、と音を立てて開いた


クラス全員の視線がそこに集中


俺も周りと同じように、そこに目を向けた。


途端に後悔。




―――ああ、こいつも同族なのか



同族嫌悪、という言葉が頭に浮かぶ



教師の横に立ち、チラチラと俺を見ながら自己紹介をする女に、ひどく吐き気がした




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