お隣さんシリーズ

□初めましてのご挨拶
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最近、隣の家に引っ越してきた方がいらっしゃいます。そこは私の家と同じほど広さ。

この近辺の家は全てと言っていいほど純和風の家だけで出来ています。そして、その中でも広いのが私の家と隣の家なのですが、引っ越してきた方は一人暮らしなのだとお聞きしました。
寂しくないのでしょうか。
私は朝来て夕方に帰る使用人が一人居て下さるので心細さというものは皆無でしたが、流石に一人は寂しく感じると思います。

一応お隣さん、なので気になります。しかも同い年の中学3年生だそうですし。












彼が越してきて五日が経ちました。けれど一度も顔を合わせていません。

挨拶をしないのは失礼に当たる行為と私は思っておりますが、引っ越してきたばかりなのですから私が押しかけては迷惑でしょう・・・。

その事に悶々と悩み、結局日が暮れ始めた頃行く事にしました。










門の隣に付いているインターホンを押す。

バタバタと中から音が聞こえてきて、そして暫くしてから、門が開きました。




「・・・誰ですか」



少しその容姿に驚く。

まず目に入る銀色の髪は夕焼けの色を反射して、橙色に染まっていて、白い肌と合っています。スラリと長い身長と、程良く付いた筋肉もまるでモデルの様です。ラフな格好をしていらっしゃいますが、少しだけ埃が付いていて、荷物の整理中だっただろう事が分かりました。

あまりにもまじまじと見ていれば失礼な事なのは分かりきっているので、すぐに視線を外し、にこりと笑いました。


「隣の家の手塚なまえと申します。挨拶に参ったのですが・・・どうやら今はご迷惑だったようですね。」


「え?隣の・・・?あ、すみません。挨拶なら俺が行くべきなんに・・・」


「いえ、引っ越したばかりというものは常に多忙なのは分かっておりますし・・・。」


「・・・ありがとうございます」


「慣れている口調で結構ですよ?同い年だそうですし」


「え、ほんまか?」


「はい」


「・・・なら、お言葉に甘えて。

――俺は仁王雅治じゃ。立海大附属中。手塚さん何処中?」


「聖ルビア女学院中等部です。・・・あと、名前で結構ですよ」



笑みを崩さないままいえば、彼は少し驚かれました。まあ、結構有名な学校だそうですし、当然なのでしょうか?



「・・・俺も名前でええよ。これからよろしくの、なまえ。」


「はい。宜しくお願い致しますね。雅治さん」







これが彼とのファーストコンタクト。





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