Project&Request
□Night
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日が落ちて夜の帳。大気は肌寒く、冷え込んでいた。
鼻をこすっていたら隣から服の裾をきゅっとつままれた。
「きれいだな、サミー」
ディーンが僕に寄り添って溜め息と共に呟いた。
目の前に広がるのは道に沿って並ぶ、数百以上のキャンドルやランタン。
家々やツリーに飾られたイルミネーションは全て電源が落とされていて、さすがに家の中の灯りなどはついているものの、それ以外の光源は月明かりとキャンドル達の灯りだけ。
少し大きな規模のキャンドルガーデンと言い表せばいいだろうか。
僕達は、ちょうどその催しごとをやっていた街に通りかかったのだった。
思いがけない場所で、思いがけない体験や光景に出くわすというのは、旅をする上で大きな発見の一つだと思う。
その一つ一つが僕らの中で思い出として輝く瞬間が、僕は好きだ。
そうした発見を、こうして隣で寄り添いあいながらディーンと経験できるというのも、僕にとってはこれ以上ない幸せだった。
隣を見下ろせば、緑の瞳をまんまるにして、幻想的に瞬く道を見つめている姿があった。
ゆらゆらと水にたゆたうように、微風に揺れるキャンドルが、同じように兄の瞳の中でちらちらと揺れて、きらめく。
ほのかな灯りに照らされるその姿も、ぼんやりと神々しく見えたりする。
ふいに合わさった視線の先で、服を掴む力を強めながら甘えるような上目遣い。
ふわああああ兄貴かわいいいいいい!!
僕は微笑み返しながら、内心で悶えた。
遠慮がちに服を掴むくらいならいっそ手を掴んでくればいいのに変なところでビッチじゃないっていうか、距離感を今更測ろうとするのがまた何とも言えない。