Song SPN2on5
□白い狂気
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麻薬のように、甘い赤を欲した。ただ、それだけの何が悪いんだ。
僕は白いタキシードで、バージンロードを歩いている。
心はひどく穏やかで澄んでいた。祭壇の上で眠るように、横たわって僕を待つ兄がいる。
暖炉に火を入れて
あなたを飾る銀色の釘
打ちつけて
抱き起そうと引っ張れば、反動で人形のようにそりかえる咽に、浮き上がる血脈の筋、薄く皮膚から透ける赤、赤が見えた。
どくんどくんと脈うつ赤に、口づけをする。
「大好きだよ、ディーン」
骨も皮も剥ぎ取って
甘く甘く滴れば
骨も皮も剥ぎ取って
毎日見つめて接吻を
「愛してる」
咽元へ思いきり歯を立てて、ごぽりと流れ出てきた蜜は甘く甘く。
白く白くどこまでも
深く深く愛してる
泉のように沸いて出る赤の噴水を全て舐め取って、もう一度愛の言葉を囁こうと濡れた手で兄の頬をとった時―、
そこには、十字架に釘で打ちつけられて僕を見上げる顔があった。