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クリスマスも年越しも(S/D)
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※安定のクリスマス(おさむ視点)


今年はボビーの家でクリスマスを過ごし、そのまま年越しをしようという事になった。兄曰く『年越しにまた訪れる手間を省けて済む、これ以上なく冴えてる提案』だそうだけど、僕はやはり、二人きりで過ごしたかった。

僕だってボビーは好きだ。
でもクリスマスはなんていうか…

違うんだよね、と僕は言った。

「何が違うんだよ」

さっそくインパラにエッグノッグとかを詰めこんでる兄の尻に向かって、もう、ここぞとばかりに力説した。

兄貴といられる時はね、誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ、二人静かで豊かで……

「つまり二人きりで、性 夜 を過ごしたいんだ」

言った瞬間、思いっきりはたかれた。僕がイケメンすぎたからたぶん、照れてたんだと思う。



そんなこんなで、シンガーさんちにやってきたワケだけど、ついた途端、荷物もほったらかしでディーンはボビーに逢いに行ってしまった。仕方なく、トランクからあれこれ引っぱりだして整理したり、やっと玄関に荷物をまとめ、僕がボビーに逢えたのは到着から数十分後だった。

クマさんの刺繍つきのエプロンをかけた偽クマさんは、不機嫌そうな無表情だった。

「遠路はるばるやってきたのにそんな顔しなくったっていいじゃない」
「何でクリスマスまでお前らと過ごさにゃならないんだ?俺に予定があったらどうするつもりだったんだ、えぇ?」

「いいんだよ、僕らにまで見栄をはらなくて」
「その可哀想なものを見る目は何だ?こっちが憐みの目を向けたいぞ、男盛りに浮いた話も無いのかってな」

「ああごめんね…今でももう事実婚みたいなものだから改めてボビーに報告しなくてもいいかなって思ってた。でもそっか、老い先短いし、孫の顔も見たいよね」
「ああうんもう何も言わんでいい」

「子どもは今、天界に処女受胎を打診してるトコなんだけど、いちいち間に入って邪魔をしてくるバカ天使がいてさ…あと夜の関係も僕としては一気に進めたいんだけど、」
「それ以上口走ったら鉛玉ブチ込むぞ」

「そっちから聞いてきたのに…そう言えばディーンは?」

聞くと、黙ってダイニングの方を指さしたので、とりあえずそこへ足を向けると、なんという事でしょう。

そこには、

「…………」

背から腰にかけて板を乗せ、四つん這いのお馬さん状態で不満げにこちらを睨み上げるディーンの姿が!!

思わず足の間めがけ、助走をつけてスライディング。

「うわああああ!?」

あやうくそのままトンネルを抜けそうだったが腕がつっかえてくれた。ちょうどディーンの喉の下あたりに僕の顔がある感じ。

ズザーッと内側に入ってきた僕にビビるディーン。

「ビ、ビックリした……玉ヒュンってするだろ!!何だよ急に!どけよ、こんなデカいの入らないって!」
「!? ディーン、もう一回言って」

「? 玉ヒュン」
「ソコジャナイ」

「来た途端、俺をおしのけてコタツに挨拶しつつ、さっそく中へ入ろうとした。そんなに好きならお前がコタツになればいいと勧めてやったんだ」

ボビーがそんな事を言った。

「そんで理不尽な罰ゲームをやらされてるってワケ。何もキレなくてもいいだろ。俺はボビーに逢いに来たのに」
「第一声が『コタツさんこんにちわ逢いたかった!入るぞ、ボビー!」じゃなけりゃ、そのセリフも信じたかもしれんが今となっては虚しいだけだ」

兄の提案は、コタツに逢いたいという思いからも出た物かもしれなかった。
しかし、その下心が無ければ僕も兄タツさんには出会えなかったわけで一概に責められない。

それにしてもこんなポジションはなかなか味わえない。

インパラの整備でディーンが下に潜ったりしてるのは見た事あるけど(あれを見る度に僕はインパラになりたいと心底思ったりする)

「温度の調節スイッチはここかな?どこかな?二つあるみたい」
「さわさわと胸を触るな、くすぐったい!」

きゃいきゃい笑うディーンがもうなんか…平和すぎて…可愛すぎて涙出てくる……。

しまいには僕から逃れようと前進しようとしたりする。四つん這いで。

あの兄が、四 つ ん 這 い である。

僕の 上 で四つん這い。

もう思い残す事は無いかもしれない……。

「そのまま前進してもいいよ。そうすると僕の目の前にはおのずと下の、」
「バックします」

もう!照れ屋さん!!

たまらず下からガッとホールドをかけてみたら、むぎゅっとか変な声を出して、べちゃっと潰れてしまった。

「テーブルにもなるし、折り畳みにもなるとか便利に持ち歩けていいね」

そのまま、ぎゅーっと抱きついたら、背中に板をしょったディーンは、ほっぺたを膨らませるのだった。

でも通風性が良すぎると文句を言うその顔を見上げていたら、天から物言わぬ毛布がふってきたので僕は思わず笑ってしまった。

結局、兄も家主も素直ではないのだ。


※アイスをとりにキッチンへ出て、戻ってきたら兄タツさんの中には何故かトレンチ天使がおさまっており、椅子とりゲーム(というより押しくらまんじゅう)になったそうな。
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