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もぐほっぺのキャス
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※カスティエル・パラディーゾ(兄貴視点).
キャスを囲んでザカリアとアンナが何かしているようだった。寄っていくとバーガーやらポテトやらを、二人してキャスへかいがいしく与えている。
「なになに?餌づけ体験してんの?」
声をかけたら、もこもこ口に入れた物を食いながら、キャスが憮然とした。
「えふへとはどうひういみなんら、ひーん」
「食ってから喋れよ!」
アンナはニコニコと俺に挨拶してくれたが、ザカリアは勢いよく振り返ると仁王立ちで、
「出たな!今すぐ去れ、このビッチめ!!」
とか叫びながら塩を投げてきた。
「天使がそういう汚い言葉使っていーんだー、いーけないんだー言ってやろージョシュアに言いつけて上司に言ってもらおー」
「ふ、ふん…さすがビッチやる事が卑怯だ!だが私は屈せずに何度でも言うぞ、このビィィィィッチが!」
続けて何か言おうとしたザカリアをドンッと突き飛ばしたアンナに聞いてみる。
「なぁ、何で二人してキャスに餌やってたんだ?」
「先ほどからやたら食物を与えられていたのは、私へ餌やりをしていたという事なのか、アンナ」
口の中の物を飲みこんだキャスが発言すると、すぐさまその口にアンナがまたバーガーを突っ込んだ。
「あのね、ディーン。キャスがもぐもぐしてるほっぺからすごいマイナスイオンが発生されるという科学的事実が天界の調査班によって明らかにされたの」
「CSI:天界調査班?…つまり、癒されるって事?」
「そう、隣にあの加齢臭がいても無心でキャスにご飯あげてると幸せになれたわ」
横で起きあがったザカリアが実に悔しそう。
「特にここ。この膨らんだほっぺたよ。すごいもちもちしてる感じ。このハムスターみたいなもぐもぐほっぺが可愛いと思うのよ。判るでしょう、ディーン?」
やけに力説するアンナに推され、キャスも上目遣いでもぐもぐしながら何かを期待してる顔してたので褒めてみた。
「うん、そのもぐもぐは動物みたいで面白いよな」
するとキャスは何故かムッとしたように、おたふく顔になった。
「君に(もぐもぐ)しょんな事(もごもぐ)言われたくなかっら(もっふもっふ)」
「あら、キャスも『カッコイイ』の方が嬉しいお年頃なのね」
「アンナ、私は餌を与えられていたのかと先ほどから聞いているんだが」
くすくす笑うアンナに、キャスが抗議したので俺は加勢した。
「俺もよく、キャスの口が開いてると物投げ込んでやりたくなるから気持ちは判る」
「論点がずれている。君は私をダストボックスか何かと勘違いしているのではないのか」
言いながらも与えられるポテトとかを食ってるので、むくーっと、ますます膨れた頬袋を見ながら俺がにやついたら、内容物を消化したはずなのに、その後しばらくキャスは不機嫌に頬を膨らませたままだった。
・後日談・
数日してもキャスの機嫌が直らないので、俺は言ってやったのだ。
「面白いってのは、俺から見たお前への、二段階目の評価なのだ。面白いだけじゃないんだ」と。
でも一段階目の評価は教えてやらない。
※内緒らしいですが、きっと前提評価は『俺の方がカッコイイが、コイツも悪くない』あたりです。