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往生際の悪い花嫁候補
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※恒例のジューンブライド(兄視点).
街の教会では丁度、結婚式をあげているところだった。着飾った花嫁さんが幸せそうに新郎と並んでいる。
「いいな、キレイな花嫁さんだ。こういう場に立ち会うとなんか良い事ありそうな気がしないか?」
俺が思わずそう漏らすと、
「憧れてるんだねわかる」
左にいたサムから婚姻届が飛んできたので、俺はそっと押し返した。
右に立っていたキャスはぼんやりと教会を眺めてから、外に出ていた神父へ、おもむろに近づいていった。
二人して首を傾げながら待っていたら数分で帰ってきて、俺を真剣な表情で見て言う。
「同性どうしでも受けいれるそうだ」
「なんでそういう事聞いたの?何が言いたいの?」
俺も真剣に聞き返したら、きょとんと目を開いた。
「いいな、きれいな花嫁さんだと君が言ったので」
「うん」
「私とあそこで誓いを立てたいのだなと思った」
「いや そのりくつはおかしい」
更に抗議しようと思ったらサムが横で頷いた。
「丁度いい、思い立ったが吉日って言うじゃないか」
そうして俺の左腕をガッと掴んで教会へ歩きだす。
「待って俺同意してないだろ!おいニヤニヤしやがって何を…!?」
言いかけたところで右腕までキャスに掴まれて、『捕穫された宇宙人』のような図で俺はずるずる引きずられて、慌てるしかない。
「おいキャスまで何だ!?」
「同意しないだけで本心ではまんざらでもない事を私は知っている。サミュエルにとられるより先に誓わねば」
俺を挟んで睨みあう二人に焦った俺は、
「いやだって百歩譲って式挙げるとして俺が新郎側でスーツじゃなきゃ嫌だって言ってさ、お前ら新婦でドレス着ろって俺が言ったら嫌だろ!?」
と叫んだが、二人は顔を見合わせた後間髪いれずに、
『それで納得するなら』
と真顔で言いきったので思わず二人のドレス姿を想像した俺は、
「ふぇぇ…」
と、変な声をあげて頭を振った。
そんな俺に構わず、言い争いながら俺を抱えた二人は教会まで迷わず前進するのだった。
その後、なんとか結婚式という状況は頓挫したのだが苦し紛れで必死になって、
「俺おっきくなったらボビーと結婚すんだもん!!毎日うまいもん作ってもらうのが理想なの!!」
とパニくりながら抗議したら、二人に本気で怒られてちょっと反省した…
※実は兄貴にふええって言わせたかっただけです