BatCat

□蝙蝠も腕の誤り(サンプル)
2ページ/3ページ


天使はサムに言った。

『ディーンは彼らのストレス緩和剤になりつつあるようだ。だから大切にするし、守ってくれる』

最近、大分人間かぶれになりつつあるせいか、天使の比喩は前よりもよく判らないものになってきていた。彼もまた、何かを隠しているようだった。

『私の立場から言えば、ディーンを窮地から救いあげる手は、一つでも多い方が望ましい。この繋がりは大事にするべきだ』

『守護天使としてのプライドは無いのか』

鼻で笑うと、青の瞳はいつにも増して真剣みを帯びた。

『私は、私一人の手でディーンを救えると驕らない。くだらない矜持はとうに捨てた。どんな手段を使っても、彼を護るんだ』

もう二度と失いたくない、と囁いて目を伏せる。

『君も、そうであってほしい。押しつけはしないがいつもそう思っている。サム……一体何が、』

懺悔を聞く牧師のように、彼は問う。

一体何が、そうも君を不安がらせ、焦らせているんだ――と。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ