Project&Request

□Night
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夜風にさらされて乾いたのか、時折舌で唇を舐めるのもあざとい。リップなんか買ってやりたくない。なんなら一生、僕が湿らせてやる。

何より強烈なのは、その大きな瞳だ。

灯りを映してキラキラしてる緑の瞳が、すっごく子供みたいに純粋なきらめき加減で、思わず目蓋にキスしたくなるっていうか、

「もういっそ眼球ごとぺろぺろしたいと僕は思った」
「それをわざわざ俺に言うのはおまわりさんを呼んでほしいからなのかなって俺は思った」

「え!?うわ兄貴なんだよ人の心を勝手に読むなよ!」
「いや…途中から本音が思いっきりポロリしてたよ?俺だって知りたくなかったよ?」

気がつくといつの間にか、僕の服を掴んでた手は離されていた。

「待ってよ、思うだけならタダだろ、掴んでろよそのまま!」
「思うだけならタダでも垂れ流すとタダではなくなるのだ、サミーよ…っていうか別に掴みたくて掴んでたんじゃねぇよ。ただ、ほら見ろすげぇぞ!っていう意味で、気持ち引っぱってやってた感があったから…無意識だったの!」

「じゃあ、意識的に僕が誘えば掴んでくれるわけ?」

僕は手袋を外して、手を差し出した。

「……なんだよこの手は」
「手をつなぎたいっていう弟の気持ちが判んないかな、今までの流れで」

「て、手袋をワザワザ外すとこがなんか、気合入りまくりで遠慮させてもらいたい…」
「今さらカマトトぶって何を出しおしみしてるんだよ」

ん!と手をもっと差し出すと、しばらく僕の手を見下ろしたまま黙ってた兄貴がそっと手を乗せてきた。

これがまた、おそるおそるって感じで、やっと懐いてくれた猫でも見てるような心境。

ちょいちょい、と指先で手のひらをつついて、その指が手首までゆっくり滑ってきた。

内心ホッとして、知らず力を入れていた肩を下ろした時、指と指の合間に指が絡み、滑りこんで、最終的に僕の手と兄貴の手は絡みあって結ばれた。
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