Project&Request
□Day
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「いいじゃん、不格好なのがお前っぽい。あと服がコートみたいだし」
彼はそっと優しく天使を手にとると、輝く笑顔を私に向けた。
「これがいい。プレゼントしてくれんだろ?」
「では私は君に似ているこれを買う」
男の子と天使を店主に差し出して、やはりもたつきながら会計をしようとした時、腕が他のオーナメントにかざった。
私はそちらに目を向けて、
「…待ってくれ、これも一緒に」
もう一つ手にとって、今度こそ金を支払った。
屋台から離れて、彼は私の手の上を覗いた。
「お前だけ、二つも飾って願い事すんの?ずるいぞ」
手の上にあるのは、ハートの形をしたオーナメント。
どこにでもあるそれを、彼の手に渡した。
「これは君に」
「え?飾るんだろ?」
「これは私の心臓だ。君に差し出す。預かっていてくれ」
「いや、そこはハートって言えよ。生々しいよ」
「では私の気持ちを、君に捧げる」
手の中を見下ろして戸惑う彼に、目線を合わせてゆっくりと言う。
「後には残るが大丈夫だ。重くないし、持っているのが辛くもならない。何故なら、私が君から離れて去っていく事など無いからだ」
さきほどの言葉に隠された意味が、自分の傍から離れていかれた時、あとに何か残されると辛いという事ならば、懸念する事はないと私は言った。
黙りこんだ彼の耳が赤く染まっているのに気がついて、思わず唇を持っていき、その耳たぶを挟みこんだ。