SPN

□2nd Anniversary
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「も、もういい…充分だからぁ…ふあぁ」
「もっと声出していいんだぜ、ディーン。裏側終ったら表もやってやる」
「水着の中もやってあげるべきだよね、昨今の紫外線は侮れないものがあるよ。うるさいのが来ないうちに下もやってあげ…」

二人のひそひそ声にとろんとした意識を傾けてたら、

「何脱がせようとしてるんだセクハラコンビ!!」

サムの怒号が聞こえて次の瞬間、

「チッ、キャスで手いっぱいだからこの隙にと思ったのに」
「背中に目でもくっついてんのかなぁ」

「僕がディーンにオイルを塗るって決めてたのに!」

「もう塗るところは無い、撤収」
「ざんね〜ん、やらしい声存分に聞いちゃった〜」

二人がぱーっと離れていったような気配。

「僕のディーンを勝手に撫でまわすな!」

何でかは判らないけどキレながらサムが駆けていった後、ぺたぺたという音と共にどうやら水着を着せられたらしい、パーカー姿のキャスが俺の横にしゃがんだ。

「ディーン」
「なんら」

気持ちよさの余韻で呂律が回らなかった俺の背中にぺたんと手をつけてから、

「この液状の物を塗るなら仰向けになってくれれば努力しよう」
「…あとは自分でやるから良い」

しょぼんとしたキャスの背中に塗ってやったら、なんだか楽しそうだった。

何かが気になったのか、俺の手をひっぱってキャスが砂浜を歩きだす。

砂浜には子供が遊ぶ小さなバケツが転がっていて、それを持ち上げ振り返った。

「今から君にプリンを作ろうと思う」
「…バケツプリンか…その発想はなかった」

せっせとバケツに砂をつめていく姿を苦笑しながら待つ俺。この年になっておままごと…と困惑する気持ちはこいつには伝わらない。

キャスの場合、シュールなジョークのつもりなのか、マジで俺に砂を食わせようとしているのか判んなくて、ちょっとハラハラしてきた。

口きりいっぱい砂をつめこんだバケツを、そっとひっくり返し、そろそろと持ち上げる。

そこに形的にはプリンっぽい砂山が現れて、ちょっと誇らしげに顔を上げたキャスの横で。

ざざーっと寄ってきた波が。

「…………」
「…………」

ざぶーんと砂山の三分の二を飲みこんで帰っていった。

「…な、波に食われちまったな…」

なんて声をかけていいか迷った挙句の一言。呆然と、バケツを掲げたまま海を見たキャスが、

「…何故食べた…」

とまぁ、真剣すぎる声で言うもんだから堪え切れなくて吹き出したら、少し遠くの水面にバルサザールがぷかぷかしてるのを発見した。
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