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□今宵も世界は恋に酔う(SD)
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「あー…お前、靴脱ぎ忘れただろ」
「どうせ全身ずぶ濡れなんだから一緒じゃないか」
海水で濡れた僕の前髪を掻き上げる間近の睫毛が同じように濡れていて、まるで夜露で濡れたようにきらめいていた。
僕が黙りこんだので、その睫毛がパチパチと不思議そうに瞬いて露を弾いた。
「なんだよ?何をじっと見てる?」
「……僕は、毎日ディーンに恋してるなと思ってさ」
「はぁ?」
「毎日毎日、なんなんだ、一体?何で手を変え、品を変え僕を誘惑するんだよ!飽きないの!?昨日はディーンの唇が頭から離れなかったし今日は睫毛がキレイだし!」
口に出したらなんだかムカついてきた。どうしてこうも僕の兄は魅力的なのか。
「その逆ギレ意味わかんねぇ!」
「毎日惚れ直させられてるんだよ!なにこれ何の呪いなの?」
勢いよく腰を掴んで抱き上げれば、激しい水音を立てながらディーンが笑った。
抱き上げられたディーンは嬉しそうに僕の頭を抱きしめる。
「何気ない事ばかりなのに僕は毎日、ディーンに恋してるんだ」
大好きだよって言って鼻を押しつけながらキスしたらふにゃっと弛緩した。
目を見上げたらちょっと意地を張りたくなったみたいで、アヒル口になってディーンは言い訳をした。
「今のは海水で緩んだだけで、別にお前がそんな事言うから嬉しかったわけじゃないぞ」
ああ、もう…これだから。
僕は今夜も恋に酔うんだ。