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□Bitter?
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弟ほど気にかけていないと言おうとした時、ぽこんと何かが飛んできた。

地に落ちる前に掴んだそれはラッピングされた箱で、綺麗に包もうとして失敗したような形のリボンがぞんざいにひっかかっている。

「ディーン、これは」

俯いてぼそぼそと唸る声が私へのプレゼントなのだと言った。

「……最近のバレンタインはチョコを手作りしてプレゼントするのが流行ってるらしいから、キャスに作ってあげてくれってアンナに頼まれたんだ。そうじゃなきゃ、誰がこんなの用意するもんか。そうだよ、お前の言うとおりだ。俺はお前の事気にかけてなんかないからな、ものの数分で適当に作った」

しかしその割には室内で悪戦苦闘した形跡があった。

壁には何故かチョコレートが飛んでいたり、よく見れば彼の顔や服にも散らばっている。

ダストボックスには大量のチョコレートの包み紙が見え隠れしていた。

それを指摘しようとする前に、ダストボックスは蹴り飛ばされた。

「…………」

黙って箱を開けてみると、歪に丸いチョコレートが並んでいる。

一つ取って口に含んだら、ほろ苦い甘さが広がった。
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