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□Achwie flchtig, ach wie nichtig
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「どうしようもなく、孤独だって顔してたのは、ただの人間でも、天使でも悪魔でも無いからか?でもそんな事言ったらな、俺だって似たようなもんなんだぜ」

男の額にかかる髪を横へ払ってやりながら、ディーンは微笑んだ。

見上げる瞳に浮かぶ色が憐憫でも侮蔑を浮かべるでもなく、ただただ美しく輝いたから、男は思わず、目を細める。

そして何か答えようと口を開こうとした時、

「ディーン」

静かに、声が響いた。2人が振り向くと、そこにはインパラに寄りかかりながらこちらを見下ろすサムの姿があった。

「ディーン、どこに行ったのかと思ったよ。行き先も言わずにおいてっちゃうんだから」
「あれ?言わなかったっけ?」

「…………いいから来てよ、ディーン」

有無を言わさぬ口調でそう言われたので、ディーンはそのまま足を向けたが、腕を強く掴まれた。

ディーンの腕を強く掴んだ男は、サムから目を離さずに言う。

「そうだ、俺にあいつが頼む理由……裏が、あったか」

それまで皮肉な笑みを浮かべるだけだった彼は、口を歪めて獰猛に、笑った。

その頬には冷や汗が伝っていた。

対してサムは酷薄に、冷ややかな目で彼を見下ろした。

「ディーン?ほら、帰るよ」

ディーンは困った顔でしばらく睨みあう2人を見ていたが、男の手が緩んだのでそっと離れて、サムの元へ向かった。
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