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□1st Anniversary
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「君の頬を涙が伝っていたから、すくった。涙の理由を教えてくれないか、サミュエルに一体、何をされたんだ」
「お前はホンット、僕にちくちくとケンカ売るよな!」

「涙じゃねえよ、汗だよ」
「汗」

「あちいから汗だくなんだよ。あー、もう服ごと水風呂に浸かりたい気分だ!」

とにかくモーテル戻ってシャワーでも浴びようとディーンが腰を上げた瞬間、世界が一変した。

瞬きをした途端、公園の木々や遊具といった目前に見えていたはずの風景がかき消え、次に僕らはベンチにいた態勢のまま、空中にいた。

「……えっ?」

遠くに街並み、森、桟橋が見える。

そして下を見れば水面。

横で中腰のまま固まっているディーンと顔を見合わせた後、そういえば世界には重力というものがあると気づいた時、同時に落下、のち水柱を立てながら僕らはザブンと着水した。

鮮やかな緑が混じる青の世界をちょっとだけかいま見てから、水面に顔を出せば、勢いよくディーンも顔を出した。

「……ぶあっ!なんだこれ……なんだこれ!?あっ、アイス!俺のアイスが水の中に!」
「もう溶けちゃったって!どんだけいやしんぼなの、兄貴!」

パニックしながら水に再びもぐろうとしたディーンの腰を掴んで止めていたら、

「…『服ごと水風呂に浸かりたい』、そう君が言ったから連れてきたのだが…何か間違えただろうか」

水面のちょっと上でキャスが真剣な顔で見おろしていた。

「「アバウトすぎるんだよ!!」」

2人してその足首を掴み、引っぱったら小さな水柱が再度、水面を揺らしたのだった。
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