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□1st Anniversary
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暑さでお互い、ちょっとイライラしている…とは判ってるけど思わず刺々しく言い返せば、ディーンはやっぱり怒った。

「お前いつまで引きずるんだよ、しつけえな!抱き合ってないって!さんざん説明しただろうが!」
「今ここで僕を抱きしめれば100万歩ゆずっておあいこって事にしてやるよ」

「あぢぃ!寄るな!」

あんまりな反応に溜め息をついて、もう帰ろうか…と声をかけようと横を向くと、ディーンはもうかなり溶けているアイスキャンデーを口に入れたり出したりしていた。

少しでも涼しさを味わいたいようで、時おり舌先でちろちろ舐めたり、ぱくんと咥えたり、じゅぽじゅぽと音を立ててしゃぶったりしていて、僕は思わず姿勢を正した。

思わず地面に落としてしまったシャーベットにアリが寄ってきたけど、もうそれどころではない。

「お前…なんてことを…もったいねぇ。……今日はもう帰るか……」
「そうだね、じゃあ帰る前に思う存分それをぺろぺろしようか。どれだけ長くてもいいからね、むしろゆっくりそれ舐めてていいからね。かじっちゃダメだよ」

で、僕の脳内Dフォルダに右クリック、名前をつけて保存、右クリック、名前をつけて保存…を繰り返しながらディーンのアイス舐める姿を納めていたら、その背景に薄汚れたトレンチコート色のウドの大木がパッと現れた。

「おい、フレームにインしてるぞ。どけよ、でくのぼう」
「おー……キャス……」

「やあ、ディーン。覇気が無いようだが、どうかしたのか」
「どうもこうも、今日めっちゃ暑いじゃん。お前、夏場でもそのコートで暑くないのか?見てるだけで俺は暑いぞ」

「特に支障は無い。器は腐らない仕様だ」
「防腐加工でもしてんの!?ジミーがかわいそうだぞ、俺は!」

支障は無くても脱いでやれよ…と力なく呟くディーンに向かって、おもむろにかがんだキャスは、唐突にすごく自然な動きでディーンの頬をぺろりと舐めた。

僕は間髪いれずに拳を振るったが(生意気な事にかわされた)ディーンは動くのも面倒なようで、なんだよ、と顔を傾けてキャスを見る。

スキがありすぎるよ、いい加減にしろよ!
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