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□Sad clown〜No trick No life!〜(TD)
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「なあ、お前が父に愛された子だって言うなら、俺は父の言葉をお前に伝えてやったりなんかしない。俺はエデンの園のヘビになって、俺のもとにおいておく事にする」

ぽかんとするディーンの腰に腕を廻し、『営業』ではないスマイルを一瞬くれてやってから、私は『ガブリエル』から『トリックスター』に戻って道化のように両腕を広げた。

「それと、どうやら私のトリックを暴くのがお好きなようだが、私は人を驚かせるのが好きだ!特に、意表をつかれて呆然としているディーンの顔を見るのが好きなんだ。そして、真実を描かない絵には真実を見せるのが私の矜持なんだ!」

壁にかかった『受胎告知』に近寄って、私は指を鳴らす。

「!」

3段階目のプレステージ、それは絵画を一瞬で変える事。

聖母マリアは、すっ裸のディーンに、対して天使ガブリエルは、超絶イケメンな私に。

ディーンはベッドの上で私を待っているように手を伸ばしていて、私は白ユリの代わりにコンドームを持って手を差しのべている。もう絶句している本人を見て、今度は涙が出るほど笑ってしまった。

数秒のタイムラグの後、飛んできた拳をかわせば彼は真っ赤になっていた。

「おっと。恥ずかしがってるのかい?」
「お、おおおお前!どうして判ったんだ!?俺の…ア、アレのサイズとか!模写ってレベルじゃないぞ、あれは俺そのものじゃねえか!!」

「それは秘密。ぷぷぷ、けっこう良い出来じゃないか?サムに見せてあげてもいいが、これは私が独り占めしておく事にするよ。ちょっとした切り札さ。お兄ちゃんが私と会うのを嫌がらないようにとっておくんだ」

もう一度、私が指を鳴らすと絵画は消え去った。

「挙句の果てには脅迫!?俺の夢の中で散々好き勝手やりやがって!そうか判ったぞ、実はお前、夢魔なんだろ!いいか、今度勝手に俺の夢の中に入ってきたら、」

延々と続きそうな罵詈雑言をまた唇で塞いで、私は言う。

「愛しているよ、ディーン。父にもサムにも、キャスにもルーシーにもくれてやらない」

だって私は負けず嫌いでナルシストなトリックスター。

トリックを暴こうとするなら、何度だってやり返してやるんだ!
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