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□Sad clown〜No trick No life!〜(TD)
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「そうか……薄々思ってはいたが、やっぱり似ているんだな」
「なにが」

「君と、私さ」

深呼吸して顔を上げた時、「私」が元の通りの薄笑いを浮かべているのを見て、彼は閉口した。

「おい、それって俺にしてみりゃ凄まじい侮辱だぜ。俺のがイケメンだ」
「似ているってのは外見的特徴じゃない。本質だ。魂の本質が私達は似ているのさ、ディーン」

直情的で刹那を好み、けれど本当は絆や繋がりが欲しい寂しがり屋。

……心当たりがあるだろう?

それを指摘するのは私にも同じ言葉が跳ね返るわけだから言わないけど。


むっつり黙ってしまって不機嫌な顔を隠そうともしない彼の前に立ってみる。

「どうやら興をそいでしまったようだから、1つ手品でも見せてあげようか」
「夢に出てきてまでやる事かよ、それ」

にっこりすれば、ぶつくさ言いながらも私に顔を向けてくれたので、

「ここに1枚のハンカチがあります」

ひらっと白いユリならぬ、ハンカチを出して顔の前に掲げる。

そのまま静止する事、約3分。

「おい、ハンカチがなんだってんだよ。手品の概念を間違ってねえ?」

苛立った彼が席を立つ。

そして私の顔の前にあるハンカチをめくった瞬間と同時に、私は彼の襟首を掴み、荒々しく唇を奪った。

「んむっ!?」

ついばむついでに、下唇を甘噛みしてから顔を離せば、ヴェネチアンガラスのように鮮やかな緑の瞳がめいっぱい開かれていて、大爆笑。

「やーい、ひっかかったひっかかった!」
「お、おまっ、お前……っ!手品ってウソかよ!?」

うーん…タネも仕掛けもないってのを確認させるのは面倒だから、やっぱり私はいきなり展開から始めるのが性に合っているな。
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