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□青き日々(学園AU)
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「忘れ物、ない?」
「おうよ、菓子持ったし、ケータイ持ったし、サイフもある」
「学ぶ気だけが無いんだね……」

思わず力が抜けた時、ネクタイをぐいっと引っ張られて姿勢を正される。

「お待ちなさい、タイが曲がっていてよ」

女子校の子みたいにきどった声を出したあと、くすくす笑って僕のネクタイをしめる至近距離の兄の顔に再び見惚れる。

長い睫毛、陽光で照らされて薄い光彩がぱらぱら散らばる美しい瞳、よく動く指……そのどれもが僕には輝いて見える。どれも本当にキレイだ…。

衝動的に抱きしめたら、瞬時にべりっとはがされた。

「おにいさま、容赦がないわ」
「ご近所様が見てる」

照れ屋な兄とじゃれ合いながらボビー先生の車庫へ行って兄貴の愛チャリを引っぱりだした。ボディーが黒く塗られたソレは『いんぱら号』と言う。

何故、『いんぱら』で何故、黒なのか僕は知っているけれど、思考するだけでもイラッとくるので、ここで説明はしない。



ボビー先生の家から学校までは、およそ10分くらいだろうか。

『いんぱら』の後ろにディーンを乗せ、朝の街なみを抜けるこの時間が僕は好きだ。
背中にくっついてるあたたかな体温を感じるのが幸せ。

もうこのまま逃避行したい!どっか行けるとこまでこいで行きたい!

そんな気持ちと毎日葛藤しているので、時々「道が混んでるから」とかごまかして、遠回りの道をわざと選んだりしちゃうのは大目に見てほしいものだ。

「あーあ。もう着いちゃった。ね、あと30分くらいサイクリングしてこない?」
「おい、しっかりしろ生徒会長」

学校の門前で、着いただろ、いやもうちょっと、と問答していたら、

「おーす、サム!ディーン!」

大声と共に、ばしーっ!と背を叩かれた。
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