Project&Request
□青き日々(学園AU)
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「そうだね、分単位でタイマーセットされてるコーヒーメーカーに先生の几帳面さが出てる気がする。それよりもほら、着替えて顔洗ってきなよ」
制服一式を押しつけ、洗面所の方へ体を向けてやれば、よたよたと大人しく従ってくれた。ちょうどコーヒーをカップに移し追えた頃、ディーンが戻ってくる。
学校の校則は比較的ゆるく、指定の物は一応あるものの、生徒たちはほとんど思い思いの服で登校する。
ディーンは素肌に僕が小さい頃にあげた魔よけのアミュレットをつけて、第2ボタンまで開けた淡いグリーンのシャツにササッと軽くネクタイをひっかけている。
下は指定のズボンだけど膝下までくるくるとラフにロールアップ。ベルト通しにはウォレットチェーンがチャラチャラと音を立てていてローファーは、かかとをつぶして履いちゃってたりする。
こういう風に崩した格好は普通のヤツだとチャラく見えたりダサく見えたりするのだが、ディーンだと絶妙なバランスでセクシーに見える不思議。
あんまり肌を見せるなと何度言ってもキチっとするのが苦手とか言って聞いてくれない。
そして、このディーンのスタイルに比べて僕はと言うと、指定のブレザーにシャツ、ネクタイにズボンと絵に描いた感じの優等生スタイル。
生徒会長をやっているという立場もあるし、外見も一応はそれに合わせようと思った結果、こうなった。
「前から思ってたんだが」
「ん〜?」
パンケーキをコーヒーで流し込んでも、まだぽやっとしてるディーンにブレザーを着せていた時、僕の胸ポケットを指さしながら聞かれた。
「なんで目が悪いわけでもねぇのに、そんなのかけるんだ」
胸ポケットにひっかけている、だてめがねは学校に行く時は毎日着けているものだ。
別にオシャレっていうわけじゃないけど『スイッチ』の切り替えをする為のキーアイテムってとこだろうか。僕の中には『生徒会長』と『サム』のペルソナ…と言うより、スイッチかな…ともかく、それは瞬時に切り替えができるけど『サム』はできればディーンの前でしか見せたくない。
ディーン以外はどうでもいいから、という理由もあったりしてだから僕は世界にフィルターをかける為に、めがねをかけるんだ。
「だってディーンにしか、素顔を見せたくないからね」
言って、開いたおでこにキスを落とせば、判ってない顔でディーンは首を傾げた。