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※節分文.
弟の最新兵器
それは先人の残した日記に書かれていた。
『△月○日
ボビーに東欧の悪霊ばらいについて教わる。
季節の変わり目には多く、鬼が出づると日本では考えられているという。一般的に2月3日に行われる行事を「節分(setsubun)」と言い、豆を外界へと打ち、鬼あるいは邪気を祓う。その際、『鬼外福内』と唱えて豆をまくと、その年は鬼を追い払う事ができる。豆は魔を滅する効果がある為、鬼へとぶつける事で、(家の)内に福が招かれ、代わりに邪である鬼は外へと追い出される→ある種の結界…塩と同じような使用法だ。効果があるとするならば、これも化け物退治に有効なのか、それともこの日のみの祓い法なのか、試みる価値はあるかもしれない』
豆をぶつけて追い出す事で幸福が訪れる……
それは良い考えだと納得した僕は、さっそくエアガンショップで手に入れたデザートイーグルを改良しながら、はたと考えた。
「豆って……何の豆だろう」
えんどう豆?コーヒー豆とかでもいいのかな?М&Мsじゃダメ?考えたあげく、炒られてるからコーヒー豆でも大丈夫だろうと詰め込んでみた。
〜間〜
「………成程、外国にそのような行事があるのは判った。だが私にその武器を向ける意味が判らない」
さっそく、ほいほいとやってきた落ちこぼれにズドンと撃ってみる。かわすコートへ更に追撃。
「邪気ばらいですが何か」
「私は邪気ではない」
「ムッツリは外、ディーンは内」
「……話が通じない」
「ディーンに近寄るモノは全て邪!殲滅あるのみ!」
コイツが来るたびにこうやって追い払えたら便利な事この上ないじゃないか。スゴイぞ僕!
ブレる照準を直しながら手早く次弾を発射した時、ターゲットの前へ、素早い何かが躍り出た。
「「!?」」
ドガガガガッと掃射された弾を、
「もももももご!」
勢いに押されつつも口いっぱいに頬張りながら、素早い何か…ディーン以外の何者でも無かった…はVサインした。
「ディ、ディーン……」
仮にもデザートイーグルなんだけど、この銃。
全部口で受け止めたの……?
「むぐ、ずるいぞお前ら、俺を除けものにして」
ごっくん、と全弾飲み込んでから言う。
「よしっ!もいっかい、いいぞ来い!!」
「違うから!ゲームじゃないから!!どいて兄貴ソイツ追い払えない!!」
「ディーン、身をていして私を守ってくれたのか…感謝のハグをしてもいいか」
「キャッチボールなら俺に任せろ。それよりこのチョコボール、なんかコーヒーの味がするんだけど。ガリって食感だし何コレ」
スナイパー銃でも買ってきて、兄貴が見てない遠くから狙撃でもしなければ、あのお邪魔虫を祓えないと悟った僕は、早々にこの新兵器を放り投げたのだった。