Log
□log3
3ページ/10ページ
「愛してる」という言葉の重み(SD)
思い出すのは大学へ行く、と告げたあの日。
「一緒に来て」と言おうとして、「愛してるんだ、だから傍にいてよ」って言いたくて、だけど言えなかった。
上がっていく心拍数と共に息を吸い込んで、顔を上げた時に「じゃあ、さよならだ」と言ったその顔が泣き顔だったから。
いつも皮肉げに笑うその口角が、取り繕う余裕も無く、けれど力を入れて無理に上げられているのを見て僕は口をつぐんだのだ。
どれだけの決意で、僕を見送ろうとしているのか、気付いてしまったから。
それから数年。僕はまた兄と一緒。
「愛してる」と言うたびに、ディーンは少しだけ目をそらす。
いつかまた僕が離れていっても大丈夫なように、別れても思いが残らないように。
「何言ってんだか」と軽く笑う。
だから言い方を変えてみようと思うんだ。
最上級の想いを、
最上級ではない言葉に込めて。
「大好きだよ、ディーン」
「大好き」を少しずつ重ねていって、ディーンが目をそらさなくなった時。
僕と向き合ってくれるようになったら、
僕はまた言うつもりだよ。
「愛してるよ」って。
そう言える日は、きっとそう遠くない。