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彼と私と手紙のようなもの(CD)

『僕と兄貴と最終兵器メール』ver.キャス。


「ディーン、眠らないのか」
「…よう、キャス」

「機嫌が悪いのは、君の弟がいないせいか」
「別に。最近、夜遊びを覚えちまったようだけど俺が連絡すると何か遠慮して帰ってくるから連絡しねぇ」

「そうか。では30分程前からその小さなものを握って寝たり起きたりしているのは何故だ」
「!どっから見てたんだ覗き魔!」

ぶんっ、ごつっ。

「痛い……これは何なんだ一体」
「目クソだ」

「以前、アンナに似たようなものを見せてもらったがそのような名では無かったように思う」
「知ってるなら聞くな!携帯だよ!」

「連絡をとるツールだと記憶している」
「……サムに何か用があんのかよ」

「……ここは『用がある』と言った方がいいのだろうな。あえて言おう。君が素直にならないならば私が彼と連絡をとりたいのだが、どうだろうか」
「む、なんだよ、その含みのある言い方は……まぁ、いい。電波繋がらないからメールしてみろよ」

「メール?」

「手紙みたいなもんだ。ここで文字を打って、終わったらここを押して……」
「なるほど。隣に座っても?」

「好きにしろ」

カコカコカコ...

「……手紙と言うからには近況報告から書くべきだろうな。ところで、さびしいのか?ディーン」
「あー?さびしかねぇよ。今はお前がいるし」

「先ほどから横になっているのに眠らない」
「眠くならねぇからだ」

カコカコカコ...

「君が望むならば抱き枕をする事もやぶさかではないが、どうだ」
「いつもの好奇心か?悪いが今日はツインだから却下。狭くて逆に眠れねぇ」

「分かった。ではダブルの部屋に泊まる時は呼んでくれ。抱き枕とやらが気になるんだ」
「お前ってやっぱ変人だなぁ。アンナも変な事ばっか教えやがって」

「そうでもない、私は楽しい。ところで何かサミュエルに君から言いたいことはあるか」
「……朝まで帰ってくるな」

「その言い方は良くない。もっと素直になるべき……ディーン、記号?のようなコレは何だ?」
「それは顔文字。気持ちとかの表現」

「なるほど、便利だ。では文末に楽しげな表現を付け加えよう。君はいつも言葉が足りないから……送信」



『サミー、すきだー。サミー、すきだー』

「くっ、また全米が滅びる鬼畜兵器が来た!」
「彼、何て?(もう電源切ればいいのに)」

『サミュエルへ

元気か、私は元気だ
ディーンは今、
私の隣で寝ている
私がいるから
彼はさびしくない大丈夫だ
抱き枕は
ダブルの部屋の時にする
朝まで帰ってくるな
以上だ m9(^Д^)

カスティエルより』

「なっ、なんだとぉぉぉぉぉうわああああ!?」


サムが携帯を割って走り出すまで、あと10秒。街の警官が深夜に殺気だった顔でコルトを握って走る不審な男性を逮捕するまで、あと5分。天使が一人の人間を見守りながら幸せな気分で朝を迎えるまで、あと数時間。
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