SPN
□ディーン取扱説明書(CD)
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そのまま観察を続けていると、サミュエルがいない理由を尋ねているのだろうと勘違いしたらしく、説明してくれた。
「サムか?ここの町には、この州で一番でけぇ図書館があるらしくてな、あいつは狩りの事後処理ついでにそこも寄ってくるとか何とか言って、出かけてったんだ。ありゃ、親父以上の収集癖持ちだ。明日にしようぜって言ったのに聞きもしねぇ」
『3、 距離を縮めたいなら話しかけてみるのも良いでしょう』
「……今日も狩りを?」
「ああ、うん。森にイエティが出るってウワサを聞いたんだ。でもヒマラヤみてぇな山脈とかがあるわけじゃねぇから、絶対違うだろうとは思ったけどとりあえず確認で。そしたら、ばかでかいクマが出た」
「ハズレだったのか、それは残念だった」
「いや、そうでもない。収穫はあった。デカいクマ肉が沢山…幸せ…。さっきまで解体してたんだ。で、体が生臭くなったからシャワー浴びてたんだよ。あ、そうだ」
ベッドのスプリングの反動を使って起き上がった彼は、部屋の隅に置いてあった大きな袋からずるり、と2メートル強はある毛皮を出した。
「ほら、コレ。こんなデカかったんだぜ!売ったら良い値になるかもと思って次の街とかで売ろうかなと、とっといた」
「自力で肉から削ぎ落したのか」
「だってクマ肉だぞ!そして毛皮も売れるんだぞ!もったいない」
嬉々として自分の身長以上のクマを解体する彼の姿を想像すると、若干ホラーではあった。