SPN
□ディーン取扱説明書(CD)
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「サムか?帰ってきたのか〜?」
バスルームから、腰にタオルだけを巻いた彼が出てきた。
「サミュエルではなくて、すまないな」
「なんで嫌味っぽく言うんだよ?どうした、機嫌悪いな」
「今、ここに誰がいたか、君は知っていたか」
「ん?……誰かいたのか?お前だけだろ」
ではバスルームに入っていた彼に気配を悟らせずに、あの悪魔はここで紅茶など飲んでいたのだ。もしかしたら相当な手だれなのかもしれない。
けれど無闇に彼を不安がらせるのは嫌だったので、黙っておく。
彼は私が護る。もし、あの悪魔が襲ってきても私が撃退すればいいだけの話だ。
「…キャス、本っていうのはナイフでページをめくって読むもんじゃないぜ」
「知っている。気にしないでくれ」
……どうやら仕掛けなどは無さそうだった。
「………………」
あの男の言った事を全て信じるわけではないが、仮にこの書物が彼に関するものだとすれば、のちのち危険になる可能性だってあるわけであって、だから私は内容を調べなければいけない義務がある。
そう、義務だ……義務。好奇心などでは絶対にない。
彼についてもっと知りたい、などとそんな軽々しい気持ちで内容をあらためるわけではないのだ。危険性の確認であって……ああ、そうだとも決してそんなことはない……