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□Fallen Angel〜風化風葬〜(CD)
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彼が弟を見ないだなんて、ありえないのに。
『不毛な独占欲』だと、私は自嘲した。
そっと彼を離して、その額に口づけを落としてみる。
「キャス?」
「…………もし、いつか君が私を忘れたとしても、こうやって私に触れられた事は覚えていてくれ」
「…………」
「ではディーン。また、」
背を向けたら、ふいに手首を掴まれた。
「なんだよそれ」
見上げながら、彼が私を睨む。
「お前まで俺を置いて、どっか行っちまうつもりか」
答える隙も与えてくれずに掴む手の力は強まった。
「させないぞ。俺はお前のこと覚えていてやったりしない。だって、お前はずっと俺のそばにいるんだから」
「……ディーン……」
「どこにも行かないって約束するまで手を離してやらねぇ」
「……私もたいがいだが、君は愚か者だ」
「なんだと、この野郎!」
ああ、これが私から離れる最後のチャンスだったというのに。
君は、あっけなくそれをふいにしたんだ。
あとはもう、共に堕ちてゆくだけしか道は無い。
もう一度、彼を腕の中へとおさめてから目をつむる。
『時間』なら、まだ沢山ある。
君が私を離さないのだから私だって君を離すつもりは無いんだ。