Project&Request
□Black Veil〜Pair in the Dark〜
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「体を売る?器に値段がつけられるとは知らなかった。しかし君に値など付けられないな。測定不能だ、売るつもりもないし」
「は、話をそらすな!あの金はどうしたんだ、思いだせ!!」
がくがくとゆさぶられること、数分。
「……あ、」
「思い出したか!」
「数日前にアンナがくれた……」
「なんだ、アンナからのこづかいだったか、良かった。ヒヤっとしたぜ…って、アレ?何をいきなり落ちこんでるんだ?」
ああ、どうしてこうも私は軽率なのか。
「イブをディーンと2人きりで過ごすんだ」と彼女に報告した時、アンナは自分の事のように喜んでくれたのだ。
『じゃあ、お姉さんがデート資金をプレゼントしてあげるわ!貴方の事だから、一緒に過ごせるだけで満足なんだろうけど、おいしいもの食べたり、贈り物してあげたりしなさい』
サイフからあの紙幣を5枚、無造作に抜き取って私のコートに詰めてくれた。
『食べたり、贈り物をしたりとは?』
『例えば、アクセサリーとか?それを見るたびにディーンが貴方を想うような、心に残るものよ』
『……あぁ、それは……』
それは、すごく良いな。そう思ったのに。
見も知らぬ子に、そして信じてもいない神のために全て使ってしまうとは。
顛末を話すと彼は、
「いや、お前らしくて良いよ」
と笑った。
「俺はお前の、そういうトコを気にいってんだ」
そうしてさらりと私の心に爆弾を落とすものだから、胸を柔らかく叩いた彼の手を掴んで条件反射のように力を行使してしまった。