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□Black Veil〜Pair in the Dark〜
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「どうした、ディーン」

「なにが」
「君の手だ。焼き石のように熱くなった」
「気のせ…うわっ、のぞきこむな!あっ、ほら、キャス!聖歌隊が歩いてきたぞ!子どもがいっぱいだカワイイな、ほらあっち見ろ!俺じゃない、あっち!…ああもう分かった、近くで聖歌を聞きに行くぞ!おら来い!のーぞーくーなーっ!」

慌ててまくし立てる彼の姿が愛おしくて、コートごと引っ張られるのを、されるがままについて行く。

歩く先の街角では、そろいの白いベレー帽とケープを羽織った少年達が、ワッセル・ソングを歌っていた。

『Love and joy come to you, And to your wassail too,』

愛と喜び 呼び込んで 
一緒に歌おう この歌を


ボーイソプラノが優しく響く。


『And God bless you』

神の祝福 あるように

その歌詞を聞いて、つい鼻で笑ってしまったのは反射的だったというのに、彼は容赦なく私の足を踏んだ。


『And send you a happy new year, And God send you a happy new year.』

幸多い年 来るように 
幸多い年 来るように


歌が終わり、拍手をする彼の横顔には、いつもの皮肉は浮かんでいなかった。

きっと心の底から彼らの歌を楽しんだのだろう。
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