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□Wings of Love(CD)
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「わかっただと?私は心がはり裂けそうなほどに君を想っているが、それを全て君が理解しているとは思えない」
「おおお、お前いま、すっげぇ、こっぱずかしい事言ってんの、判ってる!?」

「君が涙した時、緑の葉が朝露のように潤む瞳が好きだ。笑った時、宝石のように輝く君の顔が好きだ。低いのに私を呼んでくれる時だけは甘みを帯びるその声が好きだ。私のこの想いを分かっていて、知っていながらふるまっていたのだとすれば、君はひどい。悪魔だ。それは拷問だ。それでも分かっていると?」

「悪かった!分かってなかった!!だから、そのへんで許してくれ!!はなせぇぇぇ」

「なぜ顔を隠すんだ、ディーン?私が好きなその顔を、心ごと隠したりしてどれだけ罪深いんだ、君は。私の想いなど、とるに足らないものだから裂けてしまえというのか」

「は……はずかしさで死ねる、今なら!!」
「はじらいで死なせはしない。そんな逃避など許さない。恋の翼をかりて『死』の壁を乗り越えて君に会いに行くからな」

「こんなトコでシェイクスピアなんか使うんじゃねぇ!しかも微妙に違う!!」

ハーレーなクイーンは忘れたが、昔ジミーに聞いたセリフを代わりに思い出したぞ。

「……『石の壁なんかに恋を閉め出す力はありません、恋は、やってやれるものならすべてをやろうとするもの。ですから、あなたの家の人たちが何をなさろうと私を止める力はありません』……」

そうそう、これだ。
頷く私の手の中で、ディーンの体温が一気に高くなった気がした。

「いいかディーン。私の想いは『まやかし』でも『気の迷い』でもない。私は君を愛し、ん」

胸をぐっと掴まれて、彼の顔が近づいてきて、唇に熱い体温を感じた時には、その時確かに重なりあったはずの、ぷっくりとした唇はもう私から離れていた。
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