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□Wings of Love(CD)
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『あ、そうそう。忘れるとこだったわ!とびっきりの甘い口説き文句をハーレクインから厳選したから、今度会ったら伝授してあげようと思ってたのよね。ちょうどいいから教えてあげるから覚えて、言ってみたらいいじゃない』

その後の怒涛に押し寄せた言葉の波を懸命に思い出そうとする。

ハーレーなクイーンとは、いったい何だったのだろう。

おかしい、教えてもらったはずなのに言葉が出てこない…ハーレー…車か?
しかし、彼の車はシボレーだから……。

「おーい、用がねぇなら帰るぞ?」

あぁ、考えがまとまらない。けれど、ここで思い出さなければ彼女の善意まで無駄になってしまう。
……こうなったら自分の言葉で彼に伝えるしかない。

しかし、どう言えばいい?
うなり続けていると、身体をぶんぶんと振られた。

「おーい!おいってば、キャス!」

「今、君がいかに魅力的かを言葉に表そうとしているのだから、少し黙っていてくれないか!?」

「ふぇ!?」

確かにアルコールが入っていると、いつもより彼に対して強く出れるようだ。

「いや、言葉で表せたら今こんなに悩んでいない…強く言いすぎた、すまない」
「えーと、うん」
「しかし君は短気すぎる」
「そりゃ悪かった…あー、お前だいぶ酔ってるみたいだから、ちょっと休まねぇか。ベッド貸すから、」
「短気な君の言う事は聞かない。だが短気でも好きだ」
「会話が成立しねぇ。はいはい、ありがとよ。お前の気持ちはわかったから戻…」

あしらうような、そのそぶりがカンにさわり、頬に置かせたままの彼の手を思いきり引っ張ると、胸に落ちてきた体を抱きしめて動きを封じた。
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